アジリティといえば、ドッグランやスポーツ競技において使われる言葉、という印象を持たれた方もいるかもしれません。近年は、ビジネスシーンにおいて、「状況変化に合わせて柔軟に動ける力」を指します。本日は、いまいち理解が難しいアジリティの意味や今の時代に必要な理由について解説いたします。

アジリティとは?

アジリティは、英語で「機敏さ」「軽快さ」を表す言葉で、もともと運動やトレーニングの分野で使われていた言葉でした。スポーツの分野では「相手をかわす」「ボールに素早く反応する」など、運動機能における俊敏性を指します。 一方、ビジネスシーンでは「状況変化に合わせて柔軟に動ける力、素早く意思決定できる力」を指します。

クイックネス、スピードとの関係性

まず、スピードは「単純な速さ」を指します。次に、クイックネスは直訳すると「機敏性」で、事柄に対してどれだけ素早くリアクションを起こせるかを指します。 それに対し、アジリティは、ビジネスの環境変化や競合の出現といった課題に対し、的確に迅速に対応する力を指します。 ただ、速いだけでなく、的確に対応することがアジリティの最も重要なポイントです。

なぜアジリティが求められているのか

なぜ、今アジリティが注目されているのでしょうか。それは、「時代の変化スピード」「IT技術の進展」の2つの要因が背景にあることが考えられます。

VUCA(ブーカ)の時代

VUCA(ブーカ)は、2016年ごろからビジネスシーンで使われるようになったキーワードで、一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の単語の頭文字をとった造語で、「ブーカ」と発音します。 業界のプレイヤーの再編、ライフサイクルの短縮化、頻発する自然災害と疫病など、予期せぬ出来事が世界各地で次々と起こっています。この状況を先読みすることは難しく、むしろVUCAという状態を受け入れ、適宜対処していくビジネスアジリティが必要です。予防力よりも対処力が今後は求められるでしょう。

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IT技術の急速な発展

ご存知のように、IT技術はめざましい発展を遂げています。パソコン、スマホ、AI、IoT、VRなど、直近20年で我々の生活は大きく変化を遂げました。「GAFA」と呼ばれる世界の名だたるIT企業も、IT業界にとどまらず、出版、音楽、食品、流通、自動車など、さまざまな分野に広く影響を与えています。今後、ITがビジネス環境にどのような影響を与えるのか、常に先を見据え、柔軟に行動していくことが大切です。

アジリティで組織が変わる

アジリティを高めることで、組織に大きな変化をもたらします。まず、採用や人材育成面においては、ティール組織を採用したホラクラシー経営が中心となり、各従業員に権限が与えられるようになるでしょう。そのため、従業員が指示待ちにならず、自律的に動く働き方が中心になります。このように、型に囚われない働き方になるため、明確で公平な評価の制定が重要になります。 続いて、戦略に関しては、VUCAに対応すべく、過去の成功や慣習にとらわれないデザインシンキングやOODAループなど、次世代の行動プロセスをもとに、戦略設計がなされます。 変化がめまぐるしく訪れるビジネス環境では、綿密にプランニングするよりも、まずユーザーのニーズを拾い上げ、すぐさま当たりをつけた後、行動をしながら改善していく姿勢が大切です。

アジリティを高くするために、組織に必要なこと

では、会社組織としてアジリティを高くするには、どのようなことが重要なのでしょうか。それは以下の4つになります。

長期的な視座を持つ

短期的な売上、目先の利益にとらわれず、業界でどのようなイノベーションを起こせるのか、またどのような変化が起こるのかを見据えていきます。また、会社の核たるミッションやビジョンを持ち、それを現場に落とし込めているため、大きな局面の際にも切り抜けることができます。

自律性を高める

アジリティを高めるには、各人の自律性が求められます。自律性が高まる組織形態として、「ホラクラシー経営」「ティール組織」が挙げられます。ティール組織とは、組織を部署のまとまりではなく一つの生命体として捉え、組織の目的を実現するために協力してアクションを起こす組織のこと。ここには、上司や部下といった上下関係は存在せず、みなフラットな関係になります。

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柔軟な思考

アジリティには、素早さだけでなく柔軟性も重要です。決めた制度やルール、慣習に従うのではなく、今の課題やニーズを読み解き、動きながら考えることが大切です。デザインシンキング、OODAループといった次世代といった思考プロセスを実践し、不確定な要素にも即座にアクションできるようにしましょう。

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アジリティを高める方法

アジリティを高めるために必要なことは、「裁量権を与える」「情報の一元化」「多様なワークスタイルの推進」の3つになります。それぞれ一つずつ見ていきましょう。

裁量権を与える

トップダウン型では指示待ち社員ばかりになり、アジリティを高めることは難しいでしょう。ビジョンや方向性だけ示し、裁量権を与え、従業員の自律性を育むことで、組織全体のアジリティを高めることができます。

IT環境を整える

組織で縦割りに管理されている情報を、ITツールなどを使って一元化することで、組織の変化に対する機敏性を高めることができます。 また、会議なども全てオンライン化することができ、意思決定や情報共有の速度もより上がります。

多様なワークスタイルの推進

情報の一元化とも通じる部分ではありますが、ITツールを導入することで、フルフレックス、フルリモート、パラレルキャリアなど、多様なワークスタイルを実現できます。また、災害や疫病といった予測できない事態において、売上が逼迫したときも、すぐさま、オフィス規模縮小、一部閉鎖などにより固定費の削減を行うなどの判断を迅速に行えます。

まとめ

アジリティはつかみどころのない言葉ですが、今後変化の多いビジネス環境を生き抜く上では非常に重要なキーワードです。ぜひ、本日のポイントを参考に実践していきましょう。