一部の企業では、労働者が自由に就業時間を決められる「フルフレックス制」を導入しています。子育て中の現役ママ社員、介護中の社員など、何らかの事情によって働く時間が限られてしまう社員も柔軟に働けるため、離職防止やパフォーマンスやQOL
(quality of life、 生活の質) 向上につながっています。本記事では、フルフレックスのメリットデメリット、導入の際の注意点をご紹介します。

フルフレックス制とは

フレックス(flex)は、直訳すると「伸張」「伸び曲がる」という意味で、派生語として柔軟性を指す「flexibility」という言葉があります。この意味の通り、就業時間帯を規定されずに、働く時間を自由に選べる労働形態を指します。

フレックス制の場合、「コアタイム」と呼ばれる制約があります。コアタイムとは、13時〜15時のように必ず勤務すべき時間帯のことで、「コア」と略されて呼ばれることもあります。それに対し、フルフレックス制は、コアタイムもなく完全に社員個々が自由に裁量をもって働く時間を規定できます。

日本では、1988年に労働基準法の改正に伴い導入されており、フレックス制を採用する企業も増えつつありますが、多くがコアタイムを設けた限定的なフレックス制で、フルフレックス制を採用する企業はまだまだ少数なのが現状です。

フレックスとフルフレックスの違い

前述したように、フレックスとフルフレックスの違いは、コアタイムがあるか否かです。フルフレックスの方がより社員の労働時間に対する裁量が大きくなります。しかし、PCなどの情報端末によるアクセスで業務が遂行できる職種にとどまるのみで、まだまだ少数派の働き方といえます。

しかし最近では、技術の進展により、顧客管理や受電・架電業務を「クラウド」上で行うことができるツールも登場し、今後フルフレックスを導入する企業は増加するでしょう。

フルフレックスの実情とメリット・デメリット

ここでは、フルフレックスを実際に採用している当社の事例を参考にフルフレックスの実情について書いていきます。また、それに合わせてメリット・デメリットもそれぞれポイントにまとめてご紹介します。

フルフレックス利用者の声

当社、マツリカの高江洲 祐治 (たかえす ゆうじ)さんの事例をご紹介します。高江洲さんは、沖縄に住みながらエンジニアとして当社マツリカに入社しました。

>>> 高江洲さんのフルフレックスを活用した働き方はこちらから

利用者の声ーフルフレックスのメリット

フルフレックスの最大のメリットは時間が自由に使えることです。通勤時間がなくなり、その分を家事や仕事、勉強などに充てることができます。また、休みの日は沖縄の自然豊かな景色に触れられる、また沖縄が地元ということもあって、ストレスを解消しやすい環境になりました。

利用者の声ーフルフレックスのデメリット

やはりリモートワークやフルフレックスのデメリットでよく挙がる「自己管理」の部分に関しては、相当シビアだと感じます。自分でメリハリをつけなければ、いつまで経ってもダラダラと過ごしてしまいます。

また、「会社に行ったら誰かいる」という心理的な安全性を作るのも、フルフレックスだと実現がとても難しいです。そのため、なるべく沖縄から東京に出て、直接顔を突き合わせて直接会う時間を作っています。

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フルフレックスのメリット・デメリット

メリット1:固定費の削減

フルフレックスを導入している場合、オフィス外での仕事を許可している場合が多いです。常に、オフィスを稼働させる必要もなくなるため、オフィスのサイズを縮小できる他、最低限のOA機器を揃えればよく、固定費の削減につながります。

メリット2:離職率が下がる

病気療養中で決まった時間に出勤できない、子供の面倒を見るために朝は出勤ができない、親の介護があるので午前中だけ、それぞれの社員の都合に合わせて勤務時間を決められるため、仕事とプライベート、全体のQOLが向上します。結果、社員のエンゲージメントが高まり、離職の防止につながります。

メリット3:優秀な人材を確保できる

優秀な人材ほど、裁量の大きさを求める傾向にあり、企業側としては、多様で優秀な人材を確保しやすくなります。

デメリット1:コミュニケーションコストがかかる

どうしても対面で話をした方が早い時など、皆が同じ時間に出勤しているわけではないので、やや情報伝達・共有やすり合わせが遅くなり、合意形成をとるのに少々時間がかかります。基本的には、オンラインチャットやビデオ会議が基本になるので、オンライン上のコミュニケーションにいち早く順応する力が求められます。

デメリット2:サービスの品質を均一にするのが課題

コミュニケーションコストにも通ずる部分ですが、情報共有やコミュニケーションが前に進みにくいので、取引先に対してサービス品質を均一にするのが非常に難しいところです。フルフレックスを導入する前に、マニュアルや制度といった仕組みで均一化できるような工夫が必要です。

デメリット3:成果主義になりがち

評価は、どうしてもその社員の現場での様子や態度が反映されます。しかし、フルフレックスだと、常に顔を合わせることもないので、成果のみで評価する傾向が強まります。特に、間接部門(直接、売上に結びつかない経理や総務など)の評価基準は、事前に取り決めをしておく必要があります。

フルフレックスの導入の流れと注意点

フレックス、フルフレックスという制度は、明日からすぐ導入できるわけではありません。所定の手続きを行う必要があります。

就業規則の規定

就業規則に、フルフレックス制を採用することを盛り込みます。その後、労働基準監督署に届け出を提出します。

労使協定の締結

次に、労使協定の締結です。こちらは労使基準監督署への届け出は不要ですが、以下の項目については締結が必須です。

1.対象となる従業員の範囲

ここは個人ごと、部署ごと、職種ごとなど、比較的自由に定めることができます。

2.清算期間

現在はこの期間は1か月以内に限られています。

3. 清算期間における総労働時間

清算期間中に制度の対象となる従業員が働く時間の総労働時間のこと。

4.標準となる1日の労働時間

1日の労働時間は、年次有給休暇を取得した際に算定される労働時間となります。

5.コアタイム・フレキシブルタイムの設定

従業員が必ず働かなければならない時間帯(コアタイム)と自由に働くことができる(フレキシブルタイム)を定めます。フルフレックスの場合、コアタイムの制限を定めません。

参考:労務管理|フレックスタイム制導入の注意点
https://gerbera.co.jp/blog/p02/a08/theme-11405/

フルフレックスを導入する際の注意点

フルフレックスを導入するには、以下の2つのポイントに注意しましょう。

労使協定が適正に結ばれているか

前述の通り、労使協定の締結が必要ですが、労使協定は労働者の過半数を代表する者との間に締結される場合、その代表者の選任方法の妥当性が厳しく判断されます。労働者代表者の決定方法が明らかに会社側の人員である、また過半数に満たない労働者のみで選ばれていた場合には、方法は適切ではないとされ、無効になります。

適切に残業代を支払っているか

フレックスやフルフレックスでよくあるのが、みなし残業のように給与に残業代が組み込まれているという誤解です。フレックスでは、所定労働時間を超えれば、一般的な労働形態と同じく残業代が発生します。フレックスの場合、総所定労働時間を超えていて、法定労働時間内の場合は1.0倍の残業代が、法定労働時間を超えていた場合は、1.25倍の残業代が発生します。

ただし、反対に月の労働時間が所定労働時間に満たなかった場合は、その月の給与を労働時間に合わせてカットする、次の月に労働時間を繰り越すことができます。

更に柔軟性が増すフルフレックス

2019年4月から、新たな施行がなされました。前述の労使協定に関するもので、1ヶ月を最長としていた清算期間が3ヶ月に延長されました。これにより、労働者はさらに柔軟に労働時間を調整することができます。例えば、繁忙期・閑散期における業務効率の向上や子育てや介護といったプライベートな事情による労働時間の調整もでき、公私共に充実を図れます。

終わりに

フレックス、フルフレックスは他の先進国と比較すると、日本はまだまだ導入途上と言われています。ご存じの通り、時間に関する価値観は国々で異なっており、特に日本は時間厳守を絶対視している部分があります。しかし、少子高齢化によって、外国人就労が進む中、グローバルスタンダードに追い付くことは急務です。

フレックス、フルフレックスに限らず、新しい制度を採用する直後にあっては、現場の適応など大なり小なりトラブルは付き物です。「仕事か生活か」「会社か個人か」ではなく、「生活の中の仕事」「個人が集まる会社」という、一見すれば当然の思考に立ち戻ることが必要です。

社会や企業との関わり方を柔軟に捉え、フレックス制度を積極的かつ前向きな制度として社内でも議論されてみてはいかがでしょうか。

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