働き方改革の施行により、働き方の転換点に差し掛かっている日本。今後、さらに外国人労働者が増えていく中で、海外の働き方を知り、それを日本の働き方に活かしていくことは重要。本記事では、日本と海外の働き方を比較し、どのようなポイントが参考になるのか、さまざまなデータを用いながら解説します。

長時間労働から脱却!効率的で「人らしい働き方」へ

バブル崩壊前の日本は、長時間労働、残業が当たり前。しかも、給与は上がり続け、終身雇用も約束されていたため、皆で頑張ろうという気概で乗り切ることができました。

しかし、「失われた20年」と称され、経済が低迷するとその状況は一変。日本で行われていた長時間労働は不健康かつ時代にそぐわぬおかしい働き方と声を上げる人が増え、より従業員が健康的に能力を発揮できる働き方が求められるようになりました。

働き方が大きく変わる転換点となったのは、「働き方改革法案」の成立が大きいでしょう。2016年には内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置され、2018年6月に法案成立、2019年4月から正式に施行されました。 働き方改革では、「長時間労働の是正」「正規/非正規の不合理な処遇差の解消」「多様な働き方の実現」という3つの柱があり、この3つを達成するために、現在さまざまな施策が行われています。

働き方改革の本当の狙い

なぜ、働き方改革が成立したのでしょうか?それには、大きく2つの理由があると考えられます。

労働環境の改善

2013年、国連人権委員会が日本に対し、主に以下の2つの問題を厳しく言及・糾弾しました。 ・長時間労働による従業員の健康状況への懸念 ・精神的・肉体的ハラスメントによる自殺、退職の取締 特に衝撃的だった事件が、2015年12月に起こった電通の過労死問題です。これが火種となり、さまざまな企業で不正・過労死・ハラスメント問題が取り沙汰され、国民感情に「働き方を変える」という意識が刷り込まれました。

労働人口の減少

人口減少は日本全体で考えないといけない喫緊の問題とされています。就職情報会社ディスコが主要企業に対して行った調査によれば、採用活動の結果が「とても厳しい」「やや厳しい」と回答している企業が82.9%、そして内定辞退率について、「かなり増えた」「やや増えた」であわせて33.2%と、売り手市場の現状に苦戦していることが伺えます。

参照:<新卒採用に関する企業調査(2019 年 10 月調査) /2020年卒採用 内定動向調査>

https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/kigyouchosa2020.pdf

統計で見る日本の労働状況

労働時間

OECD調べによると、日本の労働時間は年間1680時間で22位となっていますが、パートやアルバイトといった短時間就業者の割合が2倍近くまで増加したという調査もあり、実際の数値とはズレがあると考えた方が良さそうです。別のOECDの統計によれば、残業時間はOECD諸国の11%から大きく上回るという結果が出ています。

http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan/

女性の管理職と正規雇用の割合

国際労働機関(ILO)によれば、世界の女性管理職の割合は27%で、それに対し日本は12%とG7で最下位という結果が出ています。日本の女性管理職の割合は、ゆるやかに上昇し続けていますが、世界水準には及んでいません。また、2019年国民生活基礎調査によれば、男性は78.8%が正規雇用に対し、女性の正規雇用率は44.7%と非正規雇用の割合よりも下回っています。

参照:https://www.ilo.org/global/publications/books/WCMS_674831/lang–en/index.htm

参照:<国際労働機関(ILO)>

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190727-00134317/

労働生産性

公益財団法人日本生産性本部が2019年に発表した調査によれば、日本の時間あたりの労働生産性は46.8ドル、OECD加盟国36カ国中21位、また、日本の1人辺りの労働生産性はおよそ81,2ドルでOECD加盟国36カ国中21位という結果が出ています。ちなみに、労働生産性のTOP3は、アイルランド、ルクセンブルク、アメリカで、第一位のアイルランドは178,879ドルとなっています。

参照:<労働生産性の国際比較>

https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/

フリーランスの割合

少し古いデータになりますが、2016年のEurostatによれば、EU加盟国の15歳〜64歳のフリーランスの人口は3060万人で、EU雇用人口の14%となっています。現状は更に増えている可能性もあります。特に多い国が、ギリシャ29%、イタリア21%、ポーランド18%で、多い業種が卸売16%、農業14%となっています。内閣府が2019年に推計した調査では、日本のフリーランス人口は341万人で、就業者全体の5%にとどまっています。

参照:<フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47729060U9A720C1EE8000/

参照:<Eurostat>

https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/DDN-20170906-1

海外の働き方事例を見てみよう

最後に、主要各国の働き方を紹介します。日本とどこが違うのか、労働時間、福利厚生、 フリーランスの割合など、さまざまな側面から見ていきたいと思います。

※参考※

http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan/
https://www.globalnote.jp/post-14269.html

アメリカ

人種の坩堝(るつぼ)のアメリカでは、「フェア」という考え方が重要視されます。そのため、性差や人種差別に対する意識が高く、パワハラ、セクハラといった問題行動はすぐに糾弾されます。米国のフリーランス人口は2018年時点で5,670万人で就業人口の35%を占めており、フリーランス先進国です。実力主義の側面が非常に強く、優秀な人材は高いポストにつくことができます。しかし、解雇に対する規制がなく、使えない人材と判断されれば、即日解雇になるなど、ドライな側面もあります。

労働時間:1786時間/年(平均労働時間)

福利厚生:交通費支給なし、退職金なし、育産休手当なし(一部の企業では支給)

フリーランスの割合:就業人口の35%(5,670万人)

ドイツ

先進国の中で、もっとも労働時間が短いのがドイツです。1日10時間を超過する労働を禁止する法律が制定されており、違反すると、経営者個人に対し最高で225万円の罰金を課します。また、ドイツの象徴的な制度として、「労働時間貯蓄制度」があります。これは、残業した分だけ別の日の労働時間を短縮するもので、より柔軟な働き方を実現しています。しかし、昇進、出世を求める人は自主的に残業をしたり、長時間労働をするところは日本とさほど変わりません。

労働時間:1363時間/年(平均労働時間)

福利厚生:基本、交通費支給なし、退職金なし、家賃補助なし

フリーランスの割合:9%

カナダ

カナダでは、仕事はあくまで人生の一部と考え、家族との時間、趣味の時間を大切にします。成果主義で、効率・生産性を重視します。出社・退社の時間もおおらかで、成果さえ出していれば文句を言われりません。在宅・リモートワークも普及しており、仕事とプライベートの境界線のない「家族を中心とした働き方」をする人も多い傾向にあります。 労働時間:1708時間/年 福利厚生:交通費支給あり、家賃補助あり、家族手当あり(会社による) フリーランスの割合:推定45%(2020年までに)

オランダ

オランダは「フレキシブルワーク先進国」といわれており、在宅勤務や週3日勤務などが広く普及しています。在宅勤務者の割合は20%程度と先進国でもトップクラスを誇ります。「ワークシェアリング」の考え方があるため、非正規雇用と正規雇用間で待遇格差がないのも大きな特徴です。

労働時間:1433時間/年

福利厚生:交通費支給あり、家賃補助の補助金あり(国の制度)

フリーランスの割合:16%

スウェーデン

2015年からは2017年まで「6時間労働制」が実施されるなど、オランダ同様、働き方先進国とされるスウェーデン。男女均等がずば抜けて進んでおり、最長480日間育児休暇を取得ができます。ワークライフバランスを再重視するスウェーデンでは、残業の割合はわずか1%、OECDの平均値11%と比べると、非常に少ないです。しかし、意外にもフリーランスは9%と、EU諸国の中でも少ない割合になっています。

労働時間:1474時間/年

福利厚生:フリスクヴォードビッドラーグ(健康維持のための予防手当)

フリーランスの割合:9%

まとめ

リモートワーク、時短勤務など、徐々に新しい働き方は登場していますが、まだ一般に普及しているとは言い難いです。本日紹介した海外の働き方を参考にしながら、できる範囲で自分の働き方を見直してみてはいかがでしょうか?