場所にとらわれない働き方が急速に浸透してきた昨今、「トラベルライター」という働き方がにわかに注目されています。「旅をしながらライターをする」と聞くと、自由で楽しそうなイメージがありますが、実際はどのような生活なのでしょうか?今回はさまざまな場所を旅しながらライターの仕事をしている、現役トラベルライターの俵谷さん(@tawarayaryusuke)に、トラベルライターの楽しい部分から大変なところまでたっぷりお話を伺いました。

 

トラベルライターとは?日本各地を飛び回る俵谷さんが語る魅力と始め方|俵谷さん

環境にとらわれず、自分のペースで仕事をする

――まずは簡単にご経歴を教えてください。

2015年に独立して、現在フリーランス7年目になります。仕事は、採用や地方創生などの分野を中心にライター・編集をしています。出身は東京ですが、転勤族だったので幼少期は福岡、鹿児島、埼玉など転々としていました。現在は京都に住んでいます。

 

――学生の頃から、文章を書くことに興味があったのでしょうか?

小学校のときに、親や先生に作文を褒められた記憶があるので昔から得意な方であると思います。大学は早稲田大学の国語国文学科に進学して、古文や漢文などを研究していました。

 

昔から、書くよりも何か真実を追求したり調べたりすることが好きなんです。大学で「社会学」という授業があったのですが、目の前のコップを「これをコップと呼んでいるけど本当にコップなのか?」みたいな内容で、とても面白かったと今でも覚えています。こうやって、そもそもの存在意義を疑って考えることは、ずっとできてしまうんですよね。

 

他にも、起業家で有名な孫正義さんやホリエモンさんが「なぜ成功したのか?」が気になって、YouTubeで過去の対談動画を見漁ったり。気になったら、とにかく調べずにいられない性分なんです。

 

――では、反対に苦手なことはありますか?

自分のペースで仕事できないのが苦手ですね。自分のパフォーマンスが誰かに阻害されたり、環境によって実力が発揮できなかったりするのが嫌ですね。環境を言い訳にせず、常に自分の力を最大限発揮したいんです。

原点は、学生時代に知った「ノマドワーカー」

――トラベルライターには、さまざまな場所に行っておすすめスポットを書く「旅行=仕事」タイプと、旅行しながらさまざまな場所で仕事をする「旅行しながら仕事」タイプがありますが、俵谷さんはどちらになりますか?

たまに前者ですが、基本的には後者ですね。「旅行=仕事」タイプのトラベルライターは人気ですぐに募集が埋まってしまうんですね。それに、競争相手も多くて単価も比較的安めです。

 

また、「旅行=仕事」タイプは、スケジュールが決まっていることが多く必ずしも自由に旅できるわけではないんですよね。それなら、自由に旅しながら仕事をして、合間にマイペースに旅先を取材するほうがおもしろいと思っています。

 

――自由度が高いほうが良いんですね。そもそもトラベルライターという働き方は昔から知っていたんでしょうか?

トラベルライターという言葉を知ったのは最近ですね。10年くらい前に、時間や場所にとらわれず働く「ノマドワーカー」という言葉を知り、こんな働き方できたら良いなと思っていました。

 

――その頃って、ノマドワーカーはまだ世の中に浸透していなかった気がしますが、周りで実践されている方はいましたか?

いなかったですね。でもその頃、僕の叔母が鎌倉と稲田堤で二拠点生活していたんです。身近にそういう例があったので、無意識に影響を受けていたと思います。

カフェのはしごが、いつの間にか「トラベル」に

――トラベルライターの仕事を始めてみて、ギャップはありましたか?

そもそも、トラベルライターになろうと思っていたわけではなくて、自然になったというか、成り行きでなったというか。だから、特にギャップはなかったですね(笑)

 

実はトラベルライターと名乗る前から、近場でカフェをはしごしてライティングの仕事をしていたんですよ。多いときは1日3件カフェをはしごしていました。それが最初の始まりで、だんだんその距離が長くなって、気付いたら「トラベル」になっていました。

 

自分はADHDの傾向があって集中力が切れやすいんです。なので、集中力を保つために「今仕事をするのに最適な環境はどこか」を常に探しています。集中したいときは静かなシェアオフィス、少し雑音が欲しいときはカフェみたいに、お気に入りの依存先をいくつか持っています。

 

――ご自身の特性に合った働き方なんですね。トラベルライターのメリットは、やはり自分の好きなタイミングでさまざまな場所を移動できることでしょうか?

そうですね。場所を自由に移動できるのが最大の魅力だと思います。よく、旅行を何も決めずにふらふら行くのを「旅」、事前に計画を立てて行く「旅行」と区別しますが、僕が好きなのは後者の「旅行」なんです。ノープランではなく、事前にしっかりと計画を立ててあちこち行きたくて。

 

――逆に大変な点、苦労する点はありますか?

私自身が大変と思っていない可能性もありますが、長距離の移動が多いので乗り物酔いする人はきついかもしれないです。ときには、新幹線乗っているときに仕事しないといけない場面も出てくると思いますし。

 

――ご自身のご経験からみると、トラベルライターはどのような人が向いていると思いますか?

「旅行=仕事」タイプでは、コミュニケーション力が求められます。PR会社や取材させていただいた方々と話す機会も多いですし、ときには取材後に関係者とご飯を食べに行くこともあります。

 

あとはフレキシブルに動ける方が向いていると思います。いざ取材に行ったときに、予定にはなかったけど先方から「急遽、ここも撮影してほしい」と言われることもあります。現場では想定外のことが多々起こるので、そういった際にも臨機応変に対応できると良いですね。

 

近場も日帰りも立派な「トラベル」。遠出でなくても良い

――旅の頻度はどのように決めていますか?

突発的に決めて行くこともあれば、事前に決めて行くこともあります。トラベルライターなら、「月の半分は移動していないといけない」みたいな固定観念や先入観がありますが、月数回でも良いですし、日帰りでも良いと思うんです。例えば、都内なら日帰りで行ける鎌倉や軽井沢みたいな場所でも良いと思っていて。

 

東京に住んでいた頃は、東京都が運営しているビジネスホテルのデイユースプランを1日1,000円で使える「多摩地域テレワーク支援事業」をよく使っていました。八王子やあきる野、立川など、用事がないとなかなか足を運ばない西東京エリアが中心で、プチ旅行気分を味わえて面白かったですね。

 

――おもしろそうですね。お気に入りの場所ができたら何度も通うんですか?それとも毎回新しいところを開拓するのでしょうか。

気に入ったところには何度も行きます。デイユースプランをしているホテルもプランを変更することがあるので、常に最新の情報はウォッチしています。

 

いろいろな仕事にチャレンジし、旅をするキッカケを増やす

――行く場所はどのように決められているのでしょうか。

最近は、誰かに会いに行くのが先で、それに伴って行く場所が決まりますね。行く場所がざっくり決まったら、Twitterで「おすすめの飲食店はありますか?」と聞いて情報収集します。もし、知り合いの都合がつけばアテンドしてもらうこともあります。現地の目線が入るだけで旅の深みは1つも2つも増すので。

 

――いわゆる有名な観光地に行くよりは、ローカルな暮らしに密着した旅のほうがお好きですか?

そうですね。現地で自転車を借りて街を移動して、ラーメンを食べて、カフェで仕事をするみたいに、その土地に暮らすような旅が好きですね。

 

――そう考えると、普段からSNSで全国に知り合いを作っておくことも大切ですね。ちなみに、「旅行=仕事」タイプ1本でやっていくのはやはり大変なのでしょうか?

個人的には、それだけだと大変かなと思います。さきほどもお話ししたように、旅系の案件は競争相手が多いんですね。それよりは、さまざまなジャンルの仕事をして対応できる範囲を広げたほうが、結果的に旅につながると思っています。

 

例えば、グルメ系のライターなら旅先の飲食店を取材できますし、地方創生がテーマの人物取材なら、地方出張が発生する可能性がありますよね。そうやって、少しずつ旅をするキッカケ、旅先でできる仕事のストックを作ることが大事だと思っています。

 

――では最後に、コロナ禍が落ち着いてから今後行きたい場所や、新しくチャレンジしたいことはありますか?

引き続き、感染症対策をしながら旅をするライフスタイルは続けていきます。まだ、リアルで人と積極的に交流を求めることは難しいので、今はとにかくスキルや知識を磨きつつ、オンラインをベースに日本や世界各地に知り合いを作っていきたいです。やっぱり現地に住んでいる人から「会いに来てよ」と言われて遊びにいくのは楽しいじゃないですか。

 

今の状況が落ち着き、平穏を取り戻した頃には、日本を周りながら「知り合いをめぐる旅」なんてことができたら楽しいなと思います。

この記事を書いたひと


俵谷千尋 Chihiro Tawaraya

1985年埼玉県出身。企業で雑誌編集、求人広告作成、ゲストハウス受付などを経験したのち、2021年夏にWebライターとして独立。プロダクトの魅力をアピールする記事や、英語系の記事が得意。趣味は音楽活動と海外放浪で、今まで行った国は現在27ヵ国。人生で100ヵ国達成するのが目標。