自律型人材とは、指示を待って動くのではなく、自主的に考えて行動できる人材を指します。ビジネス環境の変化が加速する今、多くの会社で正解を待たずに柔軟に行動できる自律型人材が重宝されつつあります。本記事では、自律型人材の概要やメリット、育成方法について解説します。

 

自律型人材の定義とは

自律型人材とは、指示を待って動くのではなく、自主的に考えて行動できる人材のことを言います。また、行動力があるだけでなく、そこに責任が伴っていることも自律型人材の特徴です。昨今は、技術進化のスピードの速さ、国際情勢の不安定化などによって、柔軟に行動していける人が求められています。自律型人材が多くいる会社であるほど、組織全体の生産性や業績向上にもつながるでしょう。

自立と自律の違い

あらためて、自立と自律の定義の違いについて解説します。まず、自立とは「人の助けを借りずに、自分の力で生活を送ること」を指します。それに対して、自律は「自身が形成した価値観や規範などに従って行動すること」を指します。具体的には「1日30分、読書をする」「毎朝6時に起きる」などが当てはまります。

自律型人材が重要な理由とは?

なぜ、今自立型人材が重要とされているのでしょうか。その理由は、大きく下記の3つに集約されます。

加速するビジネス環境の変化

現在、世界は大きな転換期に差し掛かっています。18世紀後半のイギリスで起こった第一次産業革命のように、ビジネス環境そのものが根底から覆るような変化が起こっています。代表的な例が人工知能です。人工知能は、与えられたデータを学習・処理し、人間のように自主的に判断・予測することができます。AIである「AlphaZero」が囲碁や将棋、チェスなどのトッププレイヤーを次々と打ち負かしたニュースは記憶に新しいでしょう。人工知能は技術の進展とともに、やがて人間の知能を超越すると言われています。この人工知能が人間の知能を超える領域を「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼んでおり、2045年ごろに訪れると言われています。

 

到底想像がつかないですが、50年前にはスマートフォンやパソコンはおろか、インターネットも一般的に普及していなかったことを考えれば、決して夢物語とはいえないでしょう。

ジョブ型雇用の普及

徐々に日本でも、従来のメンバーシップ型雇用から職務に合わせて人材を採用する「ジョブ型雇用」へ移行しつつあります。ジョブ型雇用では、従業員がより主体的に学び、自己研さんすることが必要となります。

 

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ワークスタイルの多様化

フルフレックス、リモートワーク、ハイブリッドワークなど、さまざまなワークスタイルが登場しています。1つのオフィスに出社し、上司や経営者のもとで働く環境下では、一定の緊張感と自律が保たれます。しかし、人の目が届かないリモートワークなどのワークスタイルでは、すべて自分自身に委ねられます。不明点や疑問があっても、隣や近くにいる上司や同僚に気軽に相談できませんし、だらけないように自分を律しながら仕事を進めなければいけません。

 

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自律型人材が持つスキル

自律型人材と呼ばれる人たちは、以下のような特徴・スキルを持っています。

能動的に動ける

指示を待たずに、今業務においてどのような行動をするのがベストなのかを考え、実行できます。不明点があるときは、周囲の人を巻き込み、課題解決や目的達成に向けて動きます。

 

責任感が強い

自律型人材は、最後まで自分が受け持つ業務に責任を持っています。行動によって生じた成果だけでなくミスやトラブルもしっかりと受け止め、解決に至るまで前に進めることができます。

 

創造性を発揮できる

指示された仕事をただこなすだけでなく、そこに自らの創造性を付加し、価値を生み出すことができます。会社の経営方針やビジョン、ミッションに沿って、絶えず良い打ち手はないか検討しているため、非常にユニークで優れたアイデアを発することができるのです。

 

自律型人材を育成するメリット

自律型人材を育成すると、会社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、生産性の向上が期待できます。指示待ち社員ばかりだと、社内全体の業務は遅滞し、優秀な従業員や管理職にばかり業務が集中します。その結果、社内全体の士気も下がってしまいます。自立型人材が増えると、細かく指示を出す必要もなくなるため、管理職のメンバーは本来の従業員の育成やマネジメントなどの業務に時間を割けます。

 

また、リモートワークやハイブリッドワークなど、ある程度自律性が求められるワークスタイルにも柔軟に対応できるため、オンラインを中心とした組織体制への移行もスムーズになります。

 

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自律型人材を育成するデメリット

自律型人材の育成におけるデメリットは、育成にそれ相応のコストと時間がかかってしまうことです。プログラミングや語学力のような明確なスキルではなく、自律を形成するものは「能動的である」「責任感がある」「創造性」など、マインドの部分を大きく占めます。研修を実施すれば一朝一夕で身につくものでもありません。研修で知識を定着させ、その後OJTで実践することを繰り返して、着実に自律型人材を増やしていく必要があります。

自律型人材の育成方法

自律型人材を育成するには、下記3つのステップを実践しましょう。

1.チャレンジを尊ぶ土壌をつくる

自律型人材を育成するのに欠かせないのが、心理的安全性の高い職場であることです。従業員が自身の意見を率直に表明でき、かつ失敗を恐れずにチャレンジできる環境でなければ、自律的なマインドは育ちません。

 

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2.学習の場を設ける

個人にすべてを委ねるだけでは自律型人材は育ちません。適切に学びの場を提供することで、学ぶことの楽しさや重要性に気付き、従業員の心構えや姿勢が変容するのです。具体的には、社内外の研修やセミナーの受講料の負担、書籍購入制度の導入などが挙げられます。

3.管理者のマネジメントスキルを高める

自律型人材を受け入れる環境だけでなく、管理者側のキャパシティやマネジメントスキルも重要です。管理者のマネジメントスキルが不足していると、管理者が部下に頼らず業務を背負い込んだり、反対に部下に仕事を丸投げして、適切なフィードバッグを行わなかったりして、、部下は適切なフィードバックを受けられず、自律のマインドが育ちません。

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自律型人材の企業事例

最後に、自律型人材の育成を行っている代表的な会社、リコーの事例をご紹介します。2021年4月に社内カンパニー制度の導入を機に、自律型人材の育成に注力。知識・技能・成果の3要素により、個々の社員のプロフェッショナルレベルを認定する「プロフェッショナル認定制度」、「RJ AWARD」、「キャリアデザイン研修」、「社内公募・社内副業制度」といった制度を拡充し、自律心あふれる従業員の創出を推し進めています。

終わりに

研修やセミナーなどを実施したからといって、すぐに自律的なマインドが育つわけではありません。自律性はソフトスキルであるため、定着には長い時間がかかります。社内に自律型人材を増やせば、先に説明したように業務の生産性向上だけでなく、会社の体制変更やリモートワークの導入などにも柔軟に適応できるようになります。ぜひ、本日のポイントを参考にして、自律型人材の育成に取り組んでみてください。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等