リモートワークは、 出勤せずに家や旅先で仕事をする働き方のことで、クラウドソーシングサービスの台頭と共に日本でも浸透してきました。しかし、依然として導入企業は少ないのが現状です。本記事では、リモートワークのメリットやデメリットや導入のポイント、どんな人に向いているのか向いていないのか、評価制度についてもあわせて解説していきます。


 

リモートワークとは

リモートワークとは、「リモート(遠隔)」「ワーク(働く)」をかけ合わせた言葉で、出勤せずに家や旅先から仕事をする働き方のことを指します。リモートワークが実施されれば、子育て中のメンバーや介護中のメンバーなど、従来なら離職または休職せざるを得ないメンバーに活躍の機会を与えることができます。

また、良い意味で仕事とプライベートの境目をなくすことができるため、家族や子供、パートナーとの時間を大切にしながら仕事にも全力で取り組めます。

テレワークとリモートワークの違い

リモートワークに似た言葉に「テレワーク」があります。テレワークは「tele(離れた場所)」、「work(働く)」をかけ合わせた造語で、リモートワークとはほぼ同義の意味で使われます。

政府は、働き方改革法案の一つとしてテレワーク推進を挙げています。東京オリンピック・パラリンピック競技大会時における交通混雑緩和を目的に進められていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、導入は急務となっています。

リモートワークの導入によって働き方はどう変化する?

リモートワークを導入することで、働き方はどのように変化をするのでしょうか?

全社員がリモートワークを実施しているキャスターが社内700名を対象に行った「リモートワーク(テレワーク)による働き方と生活の変化に関する意識調査」によれば、「相談するタイミングが早くなったか」に対し、「はい」と回答した割合は58%、勤務時間が減ったか?」という問いには、50%近くが「そう思う」と回答していました。

また、アンケートの中ではリモートワークならではの時短術として、「休憩時間に家事をする」という回答も見られました。リモートワークによって、仕事とプライベートの境界線があいまいになっていく様子が伺えます。

>>「リモートワーク(テレワーク)による働き方と生活の変化に関する意識調査」

リモートワークのメリット・デメリット

リモートワークのメリット

リモートワークを採用することでさまざまなメリットを享受できます。

メリット1:生産性が上がる

いつでも好きな場所で仕事ができます。
天気が悪ければ、家で寝間着のままで仕事をすることも可能です。自分の体調や気分、また天候や気温を考慮して働く場所を選べることで作業効率が向上します。

また、職場だと眠いのを我慢し無理やり働くという誰もが一度は経験のある状態になりますが、この時間を仮眠や家事、ジョギングなど、他の作業に充てることで、生活の質や生産性を高めることができます。

メリット2:経費が削減できる

こちらは、企業側のメリットです。オフィス資料はもちろん、オフィスに据え置いている印刷機器、電話などのOA機器類も全て不要になるため、ランニングコストをまるっと削減できます。

メリット3:担当している業務に集中できる

会社にいると、上司から急な仕事を依頼される、電話の対応に追われるなど、担当している業務がなかなか進まないことも多いですね。リモートワークでは妨害するものが何もなくなり、自分がすべき業務に集中することができます。

デメリット1:コミュニケーションが難しい

食い違いがでないように、伝えたいことを明確にするなど、オフラインに比べるとコミュニケーションの手間を感じます。また、メールやチャットは人によって返信のタイミングもばらばらなので、返信待ちの状態にストレスを感じることもあります。

デメリット2:高度な時間管理能力が問われる

プライベートと仕事の境目がなくなる、自分で区切りをつけないと、常に仕事に追われる状態になります。自由である反面、仕事する・しないを決める責任も問われます。

デメリット3:新人育成には不向き

対面ならではの「聞きたい時にすぐ聞ける」という環境はなく、ある程度の裁量を任されることになります。右も左も分からないという新入社員が育つには、なかなか難しい環境かもしれません。

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リモートワーク(テレワーク)で変わる働き方と生活感|向いてる?向いてない?

リモートワークの向いている人・向いてない人

リモートワークは、万人に向いている働き方ではありません。むしろ、リモートワークという働き方をしたことで能率が下がるケースもあるでしょう。

ここで紹介する向き・不向きを踏まえて、慎重に導入を検討しましょう。

リモートワークに向いている人

向いている方は、共通して以下のような性質を持っていることが多いです。

 

自発的に動ける人

自発的に動くことが求められるというよりは、そうならざるを得ない状況になるという方が正しいです。指示されるのが嫌いで自分で全て決めて動きたい人にとってはこの上なく好環境と言えるでしょう。

 

割り切れる人

仕事とプライベートの境目がなくなるため、仕事の終わりのタイミングを決めるのも自分です。真面目になりすぎず、プライベートの時間を大切にし、仕事を後回しにする切り替え力がある方が、疲弊せずに長続きします。


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リモートワークに向いていない人

反対に向いていない人は、共通して以下のような特性が挙げられます。

言語化が苦手な人

リモートワークのコミュニケーションは基本オンラインです。オンラインでは、対面より意図も明確に、細かく噛み砕いて言語化することが重要です。これを怠ると、お客さんとトラブルになったり、社内での関係がぎくしゃくしたりします。言語化が苦手な人は、誤って意図を解釈したり、誤解させたりすることが多くなり、かえって効率が悪くなることも。

指示待ちの人

リモートワークでは、率先して業務の進捗を共有したり確認する自主性が求められます。オフラインのように近い距離に上司はいないので、自らアクションを起こさなければ、フォローやフィードバッグももらえず、成長しません。


リモートワークを選ぶ前に検討すべきポイント

リモートワークのメリットにつられて、闇雲に導入するのはあまり得策ではありません。

社内の状況や導入による弊害など、導入前にさまざまな観点から検討する必要があります。

セキュリティ対策は安全か?

社内システムの見直しはもちろん、社員のセキュリティ意識についても確認が必要です。社外で働くことで、どのようなセキュリティリスクがあるのか、研修などを実施し、啓蒙しましょう。

評価制度は適切か?

今までの評価制度が通用しなくなります。「プロセス重視評価」が一般的とされますが、リモートワークでは社員の業務プロセスは「ブラックボックス化」するため、実態を掴むことは困難です。多様化した働き方に合わせた人事考課制度の見直しも検討しましょう。

リモートワーク導入のやり方・進め方

機密情報を扱うため、限られた空間でしか業務ができない職種や、クライアント先への訪問が必要な職種である場合は、現実的にリモートワークを実施できません。現実的に、自社の業務をリモートワークに最適化できるか検討する必要があるでしょう。

リモートワークの導入ステップ

ここでは、リモートワークの導入のやり方・進め方について解説します。導入プロセスは、大きく分けて以下の3つです。

1. リモートワークを実施する目的を明確にする

なぜリモートワークをするかという導入目的を明確にしましょう。リモートワークはあくまで社員のエンゲージメントを高めるための手段です。リモートワークの導入自体が目的化すると、継続的な運用は期待できません。

2. リモートワークに必要なツールの導入

例えば、オンラインコミュニケーションツールの「Slack」やビデオチャットツール「appear.in」、勤怠管理ツール「人事労務 freee」など、自社の業務内容に合わせて、必要なツールの導入を行いましょう。今では類似するサービスが複数存在するので、社員の声を聞きながら、より自社にマッチしたツールを選択しましょう。

3. リモートワークに合わせた制度設計

最後に、リモートワークに合わせて社内規定や人事評価制度を作り直します。リモートワーク制度を導入したら終わりではなく、定着のための仕組みが必要です。多くの場合、リモートワークに対して具体的なイメージができていないことがほとんどです。説明会を開催し、地道に定着させましょう。

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海外のリモートワーク事情

今国内では、総務省が力を入れてリモートワークやテレワークの推進を行っていますが、海外ではどうなのでしょうか?

アメリカのリモートワークの歴史は古く、その起源はNASAでエンジニアをしていたジャック・ニリーズ氏が礎を築いたと言われています。

アメリカでは、2010年頃からリモートワークの導入率が低下し始めました。そして現在ではYahoo、バンク・オブ・アメリカ、IBMなど、名だたる大手企業がリモートワークを積極的に推奨する立場から転換しています。フレキシブルな働き方で有名なGoogleでもリモートワークと出社のいずれかを選択できる方式を採用しており、完全なリモートワークをとっていません。


終わりに

海外と比べると、日本は少子高齢化による人口不足が喫緊の課題であり、このまま働き方が変わらなければ、確実に労働力は低下します。

リモートワークを筆頭に、新たな働き方が広まることで、子育てや介護中の方、シニア世代など、より多くの人達の活躍の場を作ることができます。

多様な選択肢から、自分に合った働き方を選択できる。そんな世の中になれば、多くの人がストレスなく生きやすい、働きやすい環境になっていくことでしょう。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等