「フリーアコモデーション」を知っていますか?なるべく節約しながら全国を旅したい方、いろいろなゲストハウスに滞在してみたい方にぴったりのライフスタイルです。本記事では、フリーアコモデーションの概要とメリット、デメリットについて解説します。

 

フリーアコモデーション(フリアコ)とは?

フリーアコモデーションとは、「free(無料)」と「accommodation(宿泊施設)」をかけ合わせた言葉で、無料でホテルやゲストハウスなどの宿泊施設に泊まるかわりに、業務の一部を手伝う仕組みを指します。

 

ベッドメイキングや室内の清掃など、1日数時間でできる宿泊施設の業務を手伝います。労働に対する賃金が発生しない代わりに、宿泊代金が無料になります。

フリーアコモデーション(フリアコ)の業務内容

フリーアコモデーション(フリアコ)の業務内容は、宿泊施設によって若干の差異がありますが、主に以下の3つに集約されます。

ベッドメイキング

部屋の枕やベッドのカバーやシーツ類をすべて外し、新しいものに付け替える業務です。ゲストハウスのドミトリールームの二段ベッドは、階段での上り下りや狭い中でのベッドメイキングがあるため、体力を要します。

清掃業務

宿泊部屋や共有部を清掃します。トイレや廊下などに設置しているゴミ箱に溜まったゴミを捨てて新しいゴミ袋を設置したり、掃除機をかけたりします。

ゲスト対応

規模の小さい宿泊施設で依頼されることがあります。宿泊施設に訪れたゲストのチェックインやチェックアウトの対応、施設設備の説明などを行います。特に、海外からのゲストが多い宿泊施設では、日常会話レベルの英会話力が求められます。

フリーアコモデーション(フリアコ)のメリット・魅力

フリーアコモデーション(フリアコ)には、どのようなメリット・魅力があるのでしょうか。採用するゲストハウス側と、フリアコをするスタッフ側でそれぞれ見てみましょう。

採用側(宿泊施設側)のメリット

採用側のメリットは人件費の削減です。スタッフを増やしたくても増やせずに、少ない人数で何とか運営している宿泊施設も少なくありません。宿泊施設のマネージャーは、競合調査、キャンペーンの企画、プロモーション戦略の立案、在庫管理など、バックオフィス業務にも携わっているため、ゲスト対応や清掃など現場にまで手が回りません。

フリーアコモデーションのスタッフを1人雇用するだけで、人件費を削減できるだけでなく、スタッフやマネージャーの業務負荷を大幅に削減できます。

スタッフ側のメリット

フリーアコモデーションで得られる最大のメリットは、生活費を安く抑えられることです。宿泊費だけでなく、水道光熱費、通信費なども無料になります。また、宿泊施設によってはまかないが付いていたり、送迎業務を任されている場合は、車の利用代も無料になったりするケースもあります。

また、ゲストハウスには、国内外問わずさまざまなゲストが日々訪れます。普段の生活ではなかなか出会えない人たちとつながることができるほか、業務を通じて実践的に英会話力を磨くこともできます。

フリーアコモデーション(フリアコ)のデメリット・問題点

反対にデメリットもあります。こちらもそれぞれの立場から解説します。

採用側(ゲストハウス側)のデメリット

採用する側のデメリットとしては、安定的にフリーアコモデーションのスタッフを確保できないことです。雇用契約を結んで雇う正規スタッフと違い、フリーアコモデーションはあくまでも無償のボランティアのような立ち位置になります。スタッフになる方々は、冬場にスノーボードをしに来る短期滞在者や各地を転々と旅をしている方が多く、長期で働いてくれる保証はありません。

 

フリーアコモデーションで滞在する期間や業務内容、ルールなどを面接時にしっかり双方で確認しておく必要があります。

スタッフ側のデメリット

フリーアコモデーションで滞在する場合、原則ドミトリーになります。そのため、自分のプライベートな空間はベッドの上だけになります。また、リーアコモデーションには明確な対価が発生しないので、モチベーションや責任感を強く持ち続けることも難しいです。

フリーアコモデーション(フリアコ)に向いている人・向いていない人

フリーアコモデーションに向いているのは、コミュニケーションスキルが高く、人見知りせずに新しい人との交流を楽しめる方です。場合によっては、海外からのゲストと同室になる可能性もあります。それぞれの国の文化や価値観の違いを理解しつつ、新しいことを知ることを楽しめる方に向いています。

 

反対に、人見知りが強く、環境の変化が苦手な方にはストレスが溜まってしまうかもしれません。誰とも話さずに、もくもくと自分のペースで仕事をしたいというよりは、フレキシブルに変化を楽しめる方が適しています。

フリーアコモデーション(フリアコ)で実現できる働き方・ライフスタイル

宿泊費が大幅に節約できるリーアコモデーションを取り入れることで、さまざまな働き方やライフスタイルを実現できます。その可能性は無限大です。

アドレスホッパー

フリーアコモデーションと相性の良いライフスタイルがアドレスホッパーです。アドレスホッパーとは、特定の住所を持たずにゲストハウスやコリビングサービスなどを使って、さまざまな場所を転々としながら暮らすスタイルです。

関連記事:アドレスホッパーという”定住しない暮らし方”|住所や税金はどうするの?

二拠点生活/多拠点生活

拠点を複数持って、拠点間を移動しながら暮らすライフスタイルです。二拠点生活/多拠点生活の難点は、拠点の維持管理コストがかさんでしまうことです。1つの拠点をフリーアコモデーションにすることで、大幅なコストカットができ、拠点を増やす選択肢もぐっと広がります。

 

関連記事:西出さんが語る多拠点生活の魅力。旅でも移住でもない次世代の暮らし方とは

関連記事:なぜ二拠点生活をはじめた?東京と山梨を行き来する辻さんが語る、移動しながら過ごすくらし方の魅力 ー前編ー

ワーケーション

ここまで
ワーケーションは、「work(ワーク)」と「vacation(バケーション)」を組み合わせた言葉で、旅をしながら働くライフスタイルのことを言います。フリーアコモデーションをしながら、滞在先で仕事をしつつ、空いた時間に観光することができます。

 

「普段は都内の自宅でリモートワークをしているけど、たまには気分転換もしたい」といった方は、数週間だけ地方のゲストハウスにフリーアコモデーションで滞在してみるのもおすすめです。

関連記事:旅行しながら働く「ワーケーション」という働き方。バカンスと仕事の両立はできる?

デジタルノマド

デジタルノマドとは、ITを駆使しながら国内外を旅して働くライフスタイルです。インターネット環境とパソコンさえあれば成立するため、思い切って海外のゲストハウスでフリーアコモデーションしてみるのも良いかもしれません。ただ、海外就労の場合はビザの関係で、フリーアコモデーションが違法扱いになることがあります。事前に確認しましょう。

関連記事:デジタルノマドとは?国を転々としながら自由に働くワークスタイル

フリーアコモデーション(フリアコ)を探す方法

フリーアコモデーションは、ボランティアに近い位置づけのため、求人情報メディアに掲載されることはありません。気になるゲストハウスの公式ホームページでフリアコの募集が出ていないか確認するのが1番早いです。そのほか、フリアコ求人専門のWebサイトや、TwitterなどSNSで募集していることもあります。

まとめ

ゲストハウスの仕事を手伝いながら、お金をかけずにさまざまな場所で生活できるフリーアコモデーション(フリアコ)。将来ゲストハウスを開きたい方、自分の英語力を磨きたい方、新しい人や場所との出会いが大好きな方は、ぜひ挑戦してみては?きっと、ゲストとして滞在するだけでは味わえない、さまざまな経験ができることでしょう。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等