数年前からSDGsとともに耳にするようになったソーシャルグッド。地球環境や社会活動に良い影響をもたらす活動全般を指す言葉です。

 

しかし何をもってソーシャルグッドな活動とよぶのか、いまいちその基準が見えてきませんよね。そこで本記事では、ソーシャルグッドの言葉の意味とソーシャルグッドの重要性について解説します。

 

ソーシャルグッドとは?

ソーシャルグッドとは、地球環境や社会活動に対して良い影響を与えるサービスや製品、活動全般を指す言葉です。具体的には、再利用可能な素材で製造された製品、貧困を解消するための取り組み、環境負荷の少ない商品などが挙げられます。

 

1990年代後半から、環境問題とともに「CSR」という言葉が使われるようになりましたが、近年はこのCSRやSDGsを達成するための活動やプロセスを包括した言葉として用いられることが増えています。

大量生産、大量消費の社会が終わり、エネルギー枯渇が目の前に迫る昨今では、競争から共創へと大きく世の中の流れが変わりつつあります。近年は、持続可能性を重視したSX(サステナビリティトランスフォーメーション)と呼ばれる経営手法も注目されています。

 

関連記事:共創社会で重要視される戦略|SX(サステナビリティトランスフォーメーション)とは?

SDGsの達成度ランキングは世界で17位

SDGsの日本の達成状況は世界と比較するとどのくらいなのでしょうか。

2020年の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)の調査によれば、SDGs達成度は世界で17位で、前年の15位から2つ順位を落としています。また、上位国3国はスウェーデン、続いてデンマーク、フィンランドでした。日本では、特に下記5つの取り組みが進んでいないと評価されています。

 

目標5:ジェンダー平等
目標13:気候変動
目標14:海の生物多様性
目標15:陸の生物多様性
目標17:パートナーシップ

 

参照:持続可能な開発報告書2020

ソーシャルグッドが注目されている背景

このように、ソーシャルグッドが注目されているのには、どのような背景があるのでしょうか。

ライフスタイルの多様化

まずライフスタイルの多様化が挙げられます。性別、人種、価値観、国籍、そういった区別をなくし、お互いを慮り個性を認めていく姿勢が重要です。以前は日常的に使われていた「スチュワーデス」や「サラリーマン」という言葉が今は差別表現とみなされるように、さまざまな人に配慮して発言・行動をすることが会社だけでなく、そこで働く従業員にも求められています。

 

地球資源の枯渇

地球資源は永遠に存在しません。消費し続ければいつか枯渇します。地球エネルギーの限界年数は、石炭は118年、ウランは106年、天然ガスは59年、石油は46年と言われています。また、世界の人口はもうすぐ80億人になります。このままいけば、エネルギーだけでなく食糧も不足すると言われています。あるものを消費する、限られた資源を奪い合うのではなく、限りある資源を循環させて使っていくことが今後は重要になります。

 

行き過ぎた消費社会からの脱却

地球資源の枯渇が問題に挙がりつつも、目先の利益や事業成長のために大量生産し大量消費するサイクルを当たり前のように行ってきました。発展途上国の一部では飢餓が深刻な問題になっている一方で、日本では本来食べられるのに捨てられてしまう「フードロス(食品ロス)」が社会問題化しています。農林水産省及び環境省「平成30年度推計」によれば、日本では年間2,531万トンの食品廃棄物が出され、そのうちフードロスは600万トンとされています。

 

参照:「食品ロス量(平成30年度推計値)の公表について」

ソーシャルグッドな意識をもつメリット

ソーシャルグッドな意識をもつと、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず1つが会社のブランドイメージの向上です。そのことによってクライアントからの信頼性も上がり、株主や投資家からの支持を得やすくなります。結果的に優秀な人材の採用ができるだけでなく、資金調達面でも有利になり事業成長に大きく貢献することになります。

 

短期的に効果が出るものではありませんが、長期的にソーシャルグッドな活動を実施することで会社にプラスの影響をもたらすことは間違いないでしょう。

ソーシャルグッドな意識をもつにはどうしたら良い?

ソーシャルグッドな個人、企業になるには、どのような意識をもつことが肝心なのでしょうか。まず抑えておきたいキーワードが「共創」です。従来のビジネス環境は、国対国、企業対企業、個人対個人で、覇権、マーケット、ポジションをかけて熾烈な争いを繰り広げていました。

 

しかし、社会全体が成熟化していくと、もはや入り込むマーケットは少なくなります。ニッチ市場でオンリーワンの地位を築いても、すぐに競合が参入しコモディティ化する状況になっており、ビジネスのライフサイクルがより短命になってきています。

 

売上至上主義を貫いた結果、発展途上国での貧困問題、いまだかつて類を見ない異常気象、そして枯渇が目前に迫った自然エネルギー問題など、我々の首を自ら苦しめている結果を生んでしまっています。

 

共創とは「自分だけがよければ良い」「子孫の未来は知らない」ではなく、「自分、地域社会、地球環境、そして子孫すべてがハッピーなるにはどうしたら良いか」という基準で考えることです。循環型社会といわれるように、自分だけが利を得て他が損をする状況ではなく、自分自身が経済を回していくという姿勢が、結果的にソーシャルグッドな活動につながるものだと考えられます。

ソーシャルグッドな企業事例

最後に、ソーシャルグッドな活動を行っている企業事例をご紹介します。

無印良品

無印良品は、2018年2月にソーシャルグッド事業部を設立しています。無印良品の商品を販売するだけでなく、地元の農産物直売所を併設させた「里のMUJI みんなみの里」や買い物難民の高齢者がいる地域へ移動販売をする「MUJI to GO」など、地域経済へ貢献するさまざまなプロジェクトを仕掛けています。

NIKE(ナイキ)

NIKE(ナイキ)で世間を騒がせたのが、「Dream Crazy」キャンペーンのCMです。試合前の国歌斉唱で直立せずに膝をついた姿勢をし、警察の黒人射殺事件や人種差別へ抗議を示した元NFLのアメリカンフットボール選手、コリン・キャパニック氏を起用したためです。

 

このプロモーションには賛否両論の声が挙がり、株価は3.2%ほど減少したそうです。これは非常にセンシティブな問題ですが、NIKEはあえてタブー視せずにプロモーションにすることで、議論をさせる意図があったのではないかと思われます。

個人でできることから始めよう

ソーシャルグッドは、多くの人を巻き込むプロジェクトに限らず、「マイ箸を使う」や「自宅周辺の個人店でお金を使う」など、まずは自分ができる範囲から少しずつ取り組んでいくのでもOK。皆で良い社会を作っていくための行動を今日から実践してみましょう。

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等