「生き方や働き方に悩んでいる」「なんとなくこうしたいという将来像はあるけど、どう計画をしていけば良いかわからない」そんな風にキャリアに悩んでいる方は、ロールモデルを探してみませんか?ロールモデルとは、行動や価値観など、キャリアにおいてお手本となる対象の人物を言います。ロールモデルに出会うことができれば、やるべきことや身につけるべきスキルや知識なども明確になるため、キャリア形成においては非常に重要です。本記事では、ロールモデルの必要性や探し方について解説します。

 

ロールモデルの意味とは?

ロールは英語で役割、モデルは見本、模範という意味があるように、価値観や仕事の進め方、生き方や働き方において、自分のお手本や模範となるべき存在・人を指します。1940年代に、アメリカの社会学者ロバート.K.マートン氏が提唱した「ロールモデル」理論が語源と言われています。

 

会社でも、しばしば従業員の成長や組織の活性化、優秀な人材の獲得などの目的から、ロールモデルを戦略的に設置します。ロールモデルを設置することで、「あの人のようになりたい」と従業員のモチベーションに火をつけるだけでなく多様なキャリアが形成できることもアピールできます。

ロールモデルとメンターの違い

メンターとは、指導者や助言者のことを言います。メンターは従業員のキャリアや仕事の仕方の手本や模範になる一面を持ちつつ、直接的に指導や助言をおこなって成長をサポートします。

 

その一方で、ロールモデルは誰か特定の手本や模範になるわけではなく、広い人に影響を与える存在です。また、メンターのように自発的に指導やアドバイスを行いません。

ロールモデルの必要性

なぜ、現代においてロールモデルが必要なのでしょうか。

キャリアの正解がない

正社員にとどまらず、会社に所属しながら複業をする、また会社に属さずにフリーランスとして生きていく、または地方にUターンして、農業で自給自足の生活をするなど、多種多様な生き方ができる世の中になりました。

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ただ、その反面、画一されたキャリアの正解はなく、自分で探し、自分で見つけていかなければいけなくなりました。また、医療技術の発展により、寿命も年々伸びていて、より長期的な視点でライフプランを設計する必要があります。

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「完全生命表」によれば、1891年頃の平均寿命は40代でしたが、高度経済成長期下である1954年頃から、63歳と急激に伸び率が高くなっています。

参照:第 22 回生命表(完全生命表)の概況|厚生労働省

 

ちなみに、2019年の平均寿命は男の平均寿命は81歳、女の平均寿命は87歳でした。

参照:令和元年簡易生命表の概況

変化が多く、不確実性が高い

正体不明の疫病の蔓延、異常気象、IT技術の発展など、複合的な要因によって目まぐるしくビジネス環境は変化し続けています。変化が多いということは、昨日までの常識が数年後、非常識に変わってしまうことに等しいです。

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一昔前には存在した、誰もが模範としていたであろう「有名大学を卒業して、一流企業に就職」「一社に終身雇用、出世を目指す」「結婚して、マイホームやマイカーを買う」というロールモデルはもはや存在せず、自分に適したロールモデルを自分で選定しなければいけません。

ロールモデルを設定するメリット

ロールモデルを設定することで、さまざまなメリットが享受できます。

アクションプランを立てやすくなる

ロールモデルをおくことで、自分が身につけるべきスキルや知識、能力などが具体的になり、アクションプランが明確になります。もし、そばにいる上司や先輩、知人・友人などをロールモデルにしている場合は、鞄持ちや商談の同行などを通して、日々の過ごし方や生き方を盗めます。より自分が理想とするキャリアに近づくことができます。

効率的にスキルアップできる

「どのように」「どのくらい」「なんの」スキルを身につければロールモデルに近づけるのか、アクションプランが明確になるため、効率的にスキルアップができます。

モチベーションが高まる

目標のないなかで、ただがむしゃらに頑張るのは辛いものです。ロールモデルという憧れの存在を追いかける目標ができることで、モチベーションが向上します。

ロールモデルはどんな人物が最適なのか?3つの例

では、ロールモデルには、どのような人物を選ぶのが最適なのでしょうか。それは以下の3つになります。

会社の社長、上司・先輩

もっとも探しやすいのが、自分が勤務する会社の社長や上司・先輩です。身近な人をロールモデルに設定すると、距離が近いため、すぐに相談できますし、ロールモデルの価値観や考え方、スキルの習得方法などを知ることができておすすめです。

取引先や競合他社で働く知人や友人

自分の身近にロールモデルとなる人がいなければ、社外に目を向けてみましょう。社内だと、どうしてもバイアス(社内評価)がかかった状態でロールモデルを見ることになります。しかし、社外であれば、より客観的にロールモデルの優れている点や、参考にすべき点を見つけることができます。

偉人や有名人でもOK

孔子やナポレオンのように昔の偉人でも、ウォーレンバフェットやビルゲイツのように、現代を生きる著名人や有名人をロールモデルとして選定するのもOKです。偉人や有名人をロールモデルにする大きなメリットは、情報、成功に至るまでの過程を検索できることです。

ロールモデルの見つけ方・探し方

最後に、自分に合ったロールモデルの見つけ方・探し方について紹介します。

自分と近い年代から探す

年代がかけ離れていると、考えや価値観が異なって「遠い存在の人」となり、なかなかロールモデルに共感ができません。リスペクトを感じつつも、親近感を覚える人をロールモデルにするのがコツです。年齢が近ければ、より自分に置き換えて考えやすいですし、気を遣わずに相談もできます。

理想の暮らしや働き方をしている実践者を探す

自分が理想とする暮らしや働き方をしている人を探しましょう。例えば、会社員をしながら多拠点生活をすることが理想であれば、すでに実践に向けて動いている人をSNSやYouTubeなどで探して、コンタクトを取ってみましょう。インタビュー記事やSNSだけでは知りえない理想に行き着くまでの苦労や秘話、行動などを聞けるかもしれません。

ロールモデルが見つからない場合は、複数の人の「良いとこ取り」をしよう

自分が実現しようとしている理想の生き方や働き方が先鋭的であるほど、完全に合致するロールモデルを見つけるのは困難になります。そんな時は、複数の人をロールモデルにしましょう。

例えば、お金に対する向き合い方については○○、仕事のスタンスは○○、パートナーとの関係性については○○など、複数のロールモデルの参考になる部分だけ良いとこ取りして、自分が理想とするライフスタイルや生き方、キャリアを目指しましょう。

終わりに

ロールモデルを見つけると、将来像が見えた気がして、安心するかもしれません。しかし、「ロールモデルのようになりたい」が主目的になってはいけません。ロールモデルは、あくまで自分が理想とするキャリアや生き方、働き方を補助するための存在であることを忘れないようにしましょう。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等