2019年は複業元年と言われています。組織よりもそこで働く社員(個)が尊重される時代、働き方も多様化しています。この記事では、複業にフォーカスを当てて、副業との違いやメリット・デメリット、導入事例などをご紹介していきます。

複業と副業の違い

複業と副業の違い

複業と副業は響きも似ており、混同されがちです。ここでは、副業と複業の違いについて解説します。

複業とは?

読んで字のごとし、複数の仕事を並行にする働き方のこと。副業と違い、それぞれの仕事に序列や優先度はなく、限りなく本業に近いスタンスでそれぞれの仕事を行います。

副業とは?

副業は本業以外で収入を得る働き方です。メインの仕事があった上で、それにプラスアルファで仕事をすることです。土日のアルバイト、内職などがここに含まれます。

複業と副業の大きな違いは、収入に対してのスタンスです。複業は収入の大小にかかわらず、全て同じウェイトで仕事をします。「〇〇の専門家」と肩書きを狭めず、どれも自分を形成する肩書き・職種になります。それに対し副業はあくまで本業の収入を補うものとして行っている仕事になります。

複業のメリット・デメリット

複業と副業の違いがつかめたところで、複業にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?それぞれまとめてみました。

メリット1:新たなスキルを習得できる

会社で担当している仕事とは全く別ジャンルの業務にチャレンジできます。新たなスキルを習得することで、会社での活躍の幅も広がり、自分の成績アップにつながるなど、相互的に仕事に好影響を与えます。

メリット2:収入が増える

シンプルに収入が増えます。複業・副業を実践する人の中には、複業が軌道に乗り、退職し起業する人もいます。

メリット3:業務効率が上がる

複業をすると時間が足りなくなります。いかに無駄をなくし、成果を出すかという視点で物事を考えられるようになります。

デメリット1:プライベートとの折り合いをつけるのが難しい

オンオフの境目がなくなります。慣れないうちは、オンオフの切り替えに悩む人も多そうです。完全にオフの時間を作るなら、そのための時間を確保するなど、時間管理能力が問われます。

デメリット2:負担が増える

副業・複業も規模が大きくなれば、時間的・身体的負担が大きくなります。会社の仕事、複業の仕事のバランスを常に考えてキャパオーバーにならないよう、工夫が必要になります。

複業の向き・不向き

副業・複業には以下のような人が向いています。

向いている人

・チャレンジが好きな人

・好奇心が旺盛な人

・自己管理ができる人

・成長意欲が高い人

・自走力がある人

・問題意識がある人

・熱中しやすい人

反対に、以下のような人はあまり向いていないかもしれません。

不向きな人

・指示待ちの人

・プライベートの時間が欲しい人

・すぐに飽きてしまう人、継続力がない人

・チャレンジをするのがおっくうな人

あくまで、ここに挙げたものは一般的なものです。複業といっても仕事の種類は千差万別で、まずはやってみて自分に合っているか確かめましょう。

働き方の多様化

働き方改革が実行されてから、複業、パラレルワーク、フリーランス、スラッシャーなど、ここ数年でさまざまな働き方を示す言葉が登場してきました。

>>>“スラッシャー”という働き方についての参考記事はこちら
“スラッシャー”としてのキャリアの形成|ミレニアル世代の働き方

平成26年に中小企業庁が行った兼業・複業に関わる取り組み実態調査事業によれば、複業を認めていないと回答した会社は「85.3%」でした。

>>>平成 26 年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業 報告書 |中小企業庁委託事業(株式会社リクルートキャリア)

しかし、ここから数年経ち、状況は一変しています。平成30年1月には、政府がモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を見直し、副業・兼業について規定を新たに追加しました。

この副業・兼業の推進は、アベノミクスが掲げる一億総活躍社会に紐づく「働き方改革」の一環です。これにより、現在では副業・兼業を認可する大手、中小企業が増えてきています。

フリーランスの実態

ランサーズが行った「進化するフリーランスの未来―フリーランス実態調査2018―」によれば、広義によるフリーランスの数は日本で1,119万人いるといわれています。

年々フリーランスの人口は増えており、その成長率はアメリカと比べると約3倍にもなります。近年は、副業フリーランス、複業フリーランスといったいわゆる複業社員が急増しており、複業に関するマッチングサイト、求人サイトなども数多くリリースされています。

複業を推奨する企業事例

複業は収入を増やすだけにとどまりません。自分の生き方やキャリアを形成することができる働き方です。今では、複業を容認している会社も増えてきています。複業を推奨している会社をいくつかご紹介します。

・エンファクトリー

「専業禁止」を掲げています。パラレルワークを強制しているわけではなく、「生きる力」を社員につけてもらいたいという思いが込められています。一つの組織、仕事をするのではなく複数の仕事を同時にすることで今まで見えなかった視点が作れたり、新しい仲間に出会えるというチャンスを大切にしています。

・サイボウズ

2007年から、社員のライフステージに合わせた働き方を選択できる人事制度をスタートし、2018年からはさらに多様な働き方を支援すべく、「働き方宣言制度」と称し、社員個人が希望の働き方を宣言するスタイルを実践しています。

・メルカリ

メルカリでは、フレックスタイムや「セミナーの受講補助制度」など、社員が価値を最大限発揮できる職場環境、働き方の制度を設計しています。その一つに「複業推奨制度」があります。これは、複業することで自分のスキルや視野が広がり、会社全体の価値が上がることを目的としたもので、社員がさまざまな複業を行っています。

日本と世界の働き方の違い

ここでは、海外の働き方を紹介しながら、日本の働き方の課題点を見ていきます。日本と海外の働き方ではどのような差があるのでしょうか?今回は3か国の働き方を紹介します。

・イギリスの働き方

イギリスには「Work to live, don’t live to work(働くことは生きるため、人生は働く事が一番の目的ではない)」ということわざがあり、ワークライフバランスを重視する国柄があります。

そのため、古くから柔軟な働き方を支える制度が数多く存在しています。2000年には、ワークライフバランスの向上を目的に、「就業家族法」「フレキシブルワーキング法」など、さまざまな観点から法整備が進められました。2003年には「最長2週間の有給父親休暇」「有給出産休暇6ヶ月」といった制度が作られています。

イギリスの年間労働時間は1,538時間で28位となっています。

・ノルウェーの働き方

ノルウェーは、北欧の中でも女性進出の割合が高く、2011年と少し古い調査にはなりますが、女性就労率60%以上を叩き出しています。在宅勤務やフレックスタイムを導入している企業も多く、柔軟な働き方が許容されています。

これには、ノルウェーの人口密度が関係しています。ノルウェーの人口は日本の25分の1程度であり、より少ない人数で生産性を上げることを考える必要があります。1993年からすでに「パパ・クオータ制度」と呼ばれる男性の育児休暇制度をいち早く導入しています。10週間育休を取得できる制度で、現在では現役パパの9割がこの制度を使っています。

ノルウェーの年間労働時間は1,416時間で36位となっています。

・ドイツの働き方

ドイツは先進国の中で最も労働時間が短いといわれています。労働時間の管理を徹底しており、1日10時間を超える労働は法律で禁じられています。また、「労働時間貯蓄制度」と呼ばれる制度が存在します。これは、1時間残業した場合、翌日以降にその時間分早く帰ることができるもの。

休みの制度も充実しています。ドイツでは有給休暇と病欠を別で取得できます。ドイツの年間労働時間は1,363時間で38位で、日本と比べると300時間ほど少ないです。

>>>参考:世界の労働時間国別ランキング(2018年)| OECD

複業?副業?で実現する本当の自分らしさとは

複業を実践する際の注意点

複業を実践する前には以下の点に注意しましょう。

・就業規則を確認する

複業を容認していない企業も多くいます。自分が在籍している企業の就業規則を事前に確認しましょう。また、就業規則で容認されていても、現場レベルでは許可されないケースもあるので、必ず上司に相談しましょう。

・税金面の知識をインプットする

複業は、アルバイト契約でない限りは、業務委託契約または請負契約となり、自分で確定申告をする必要があります。詳しくは、国税庁のホームページを参照してください。

>>>所得税の確定申告|国税庁

終わりに

複業は会社という枠組みから外れ、さまざまな仕事や新たなチャレンジできるきっかけになります。しかし、その分責任や業務量も増えます。なぜ複業をするのかという目的意識をしっかりと持った上で取り組むことが大切です。