ヒュッゲ(Hygge)とは、「居心地のよい雰囲気や時間」を指す言葉で、2016年頃に世界的なブームとなりました。コロナウィルスの感染拡大によって、人と人のつながりや心地よい日常があらためて見直され、ヒュッゲの素晴らしさが再認識されています。本記事では、ヒュッゲという心のあり方や考え方、ヒュッゲでどう働き方やライフスタイルが変わるかについて考えます。

ヒュッゲとは何?

ヒュッゲ(Hygge)とは、デンマーク語で「居心地のよい雰囲気や時間」を意味し、デンマークを中心とに北欧の人が大切にする価値観や思想が表されている言葉です。日本語に完全に合致する言葉がなく、快適、幸福など近い言葉で訳されます。

 

2016年には、世界的にヒュッゲというライフスタイルが認知され、インテリア用品や関連書籍などが販売されました。そして、2020年にはコロナウィルスの世界的な感染拡大により、自宅で過ごす人が増え、より日々の生活をよいものにしたいと考える人が増え、再注目されています。

世界トップクラスの幸福国、デンマークとはどんな国?

デンマークは、北欧諸国のうちの一つで、国土面積は4.3平方キロメートル、およそ九州全土の面積に匹敵します。ただし、自治領であるグリーンランドやフェロー諸島を含めると、その面積は日本の6倍になります。

 

「世界幸福度報告書2020年度版」の世界幸福度ランキングでは、1位はフィンランド、次いでデンマーク、3位がスイスと北欧諸国がトップにランクインしています。ちなみに、日本は62位で、昨年の58位からさらに順位を下げています。特に、日本では寛容さ(generosity)と、人生の選択における自由度(Freedom to make life choices)がきわめて低い傾向にあります。

 

参照:World Happiness Report 2020

 

また、2018年にOECDが行った調査では、デンマークの年間平均労働時間は1,392時間で、38ヵ国中37位と、労働時間が非常に少ないことがわかります。ただ、一人あたりGDPは65,515ドルで世界4位(日本は42,823ドルで18位)、一人あたりの労働生産性は129,621ドルで世界4位(日本は81,258ドルで21位)となっています。またWorld Data.infoの調査では、デンマークの平均所得は63,240ドルで、それに対し日本は41,690ドルとなっており、いかにデンマークの生産性が高いかがわかります。

 

参照:労働生産性の国際比較|公益財団法人日本生産性本部

参照:World Data.info

 

ただし、デンマークは、消費税が25%、所得税が50%前後、また自動車税が一台につき180%と、日本と比べると税金が高額です。それに加え、11~3月の日照時間は短く、夕方15時頃には空が暗くなります。また、気温は平均気温は1度で、日本と比べると、風が強く晴れる日も少なく寒いです。このように、暗く寒い長い冬があり、かつ税金が高いのに、なぜデンマークの人々の幸福度はこれほどまでに高いのでしょうか?

 

そのカギが「ヒュッゲ」です。デンマークのように、日照時間が短い国は、帰宅時間も早い傾向にあり、自然と家族と過ごす時間が増えます。また、冬は曇りの日も多く、陽の光を充分に浴びれないため、せめて前向きに快適に過ごそうと、ヒュッゲには欠かせないアイテムであるキャンドルが使われます。ちなみに、ヨーロッパ・キャンドル協会の調査によれば、デンマークのキャンドル消費量は世界最多で、1人あたりの年間使用量は6kgといわれています。

 

寒く長く厳しい冬だからこそ、家の居心地をどう快適にするかを考える必要があります。寒く暗い冬を楽しく生き抜く術、それが「ヒュッゲ」なのかもしれません。その証拠に、デンマークを筆頭に北欧は家具や食器の文化がさかんです。

フィーカやラーゴムとの違い

フィーカとは、甘いものを食べながらコーヒーを飲むスウェーデン特有の文化です。コーヒーブレイクだけでなく、同僚や家族、友人とのコミュニケーションをする目的も兼ねています。ラーゴムもスウェーデンに根付いている文化で、「多すぎず少なすぎず、ちょうどいい」を意味し、大量消費主義とは相反する丁寧な暮らしを求める価値観です。

ヒュッゲをとり入れるために大切なポイント

ヒュッゲを取り入れる際に大切なことは、日常とかけ離れた非日常ではなく、日常の中にささいな幸せや安らぎを作ることです。

家族や友人との時間を大切にする

家族、友人、近所の付き合いやつながりを大事にします。その証拠に、デンマークでは、よくホームパーティが開催されます。仕事も大切ですが、普段の生活では家族とともに過ごす家の時間が多いです。人とつながり、コミュニケーションをとることで、より楽しくここちよい日常になります。

余白を作る

休みをとって他の国へ旅行することは非日常、ヒュッゲは日常の時間にゆとりを作ることで生まれます。残業せずに、まっすぐ家に帰り、ゆっくりと過ごします。羨望の目で見られたい、ぜい沢な暮らしをしたいなど見栄を張らず、気取らずに、自分が心地よいと思ったご飯をゆっくり味わい、お気に入りの洋服、インテリアを丁寧に使います。ときには、近所の公園に散歩、バーベキュー、沢遊びなどもいいかもしれません。

完璧を求めない、無理をしない

デンマークをはじめ、北欧諸国では「ヤンテの掟」という考え方があります。「ヤンテの掟」は、アクセル・サンデモーセ氏の小説『A Fugitive Crosses His Tracks』に登場したルールです。

 

・自分を特別な存在だと思ってはならない
・自分は人よりも善良であると考えてはならない
・自分は人よりも賢いと思ってはならない
・自分は人よりも優れていると思ってはならない
・自分は人よりも知識が深いと思ってはならない
・自分は人よりも重要な人物であると思ってはならない
・自分は何かに秀でていると思ってはならない
・人のことを笑ってはならない
・自分が人から気にかけてもらえると考えてはならない
・自分が人に何かを教えられると思ってはならない

 

デンマーク人は収入にさほど執着がない方が多いそうです。それは、「ヤンテの掟」が浸透し、等身大の自分でいること、背伸びしない、他人を見下さない考え方が基礎になっているからだと思われます。

ヒュッゲで変わる働き方

ヒュッゲを取り入れると、私たちの働き方はどのように変化するのでしょうか。

労働時間や働き方が柔軟に

ヒュッゲでは、家族、友人など、身近な人と過ごす時間を重視します。フルタイム出勤から、フルフレックス、フルリモートといったよりフレキシブルな働き方へ移行します。

 

関連記事:フルフレックスという選択肢|変わる働き方

失敗を許容する文化が作られる

ヒュッゲは、居心地の良い空間を意味します、つまり、裏返せばそこには「今を全力で生きよう」という思いが込められています。他人と比較し、大きな成功をつかむのではなく、今を楽しむ最善主義です。ただし、デンマークでは失敗を許容しても、生産性を重視するため、無駄を省く合理的な考え方も持ち合わせています。

まとめ

「目まぐるしい情報と時代の流れについていくのがやっと」「日々の仕事に追われ、心に余裕を持てない」現代人であれば、そのような悩みを持っている方も多いでしょう。ヒュッゲは、今この瞬間の生活を快適にするあり方であり、多忙な日本人が忘れがちな精神です。コロナウィルスで、プライベートと仕事の境界線があいまいになった今、あらためて「ヒュッゲ」のあり方を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等