テレワークを皮切りに、ワーケーション、パラレルワーク、ハイブリッドワークなど、多様な働き方が生まれています。ノマドワークは、2010年頃から日本で広がり始めた概念です。もともと、フリーランスや経営者などを中心に広がりを見せていましたが、テレワークが普及したことで、企業に勤めている方も実践するケースが増えています。
本記事では、ノマドワークの意味や魅力、問題点、テレワーク(リモートワーク)との違いなどについて解説します。
目次
ノマドワークの意味とは?
ノマドワークは、英語で遊牧民を意味する「ノマド(Nomad)」と、働くを意味するワークをかけ合わせた言葉です。略して「ノマド」とも。固定のオフィスや職場ではなく、さまざまな場所で働くことを指します。ノマドワークをする人のことを「ノマドワーカー」と呼びます。
ノマドワークに資格は必要なく、だれでもなることができます。
ノマドワークの起源
ノマドワークは、経済学者ジャック・アタリ氏の著書「21世紀の歴史」で「ノマド」に言及したのが始まりとされています。日本では、「ノマドライフ」の著者でありレバレジーズ代表の本田直之氏や、情熱大陸でも紹介された安藤美冬氏が火付け役となり、一躍ノマドワークが知られるようになりました。
その後ブロガーブーム、副業解禁、テレワークの普及を経て、よりノマドワークが身近になってきています。
近年は、ワークスタイルの多様化によって、ワーケーション、アドレスホッパー、リモートワークなど、類似する概念が増えています。しかし、ノマドワークはワークスタイルよりはライフスタイルに近い位置づけで、ワーケーション、アドレスホッパー、リモートワークといった言葉を内包する広義的な言葉になります。
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ノマドワークとデジタルノマドの違い
ノマドワークはさまざまな場所で働くという条件だけですが、デジタルノマドは、日本国内だけではなく世界中飛び回るノマドワーカーのことを指します。まさに、ノマドの言葉のごとく遊牧民のように生活するワークスタイルと言えます。
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ノマドワークとテレワーク(リモートワーク)の違い
テレワーク(リモートワーク)は、あくまでオフィス以外で働く手段であり、自宅やシェアオフィスで働くことを含みます。しかし、ノマドワークは固定の場所を持たず、時にはカフェ、シェアオフィス、自宅、電車の中というように、転々と渡り歩きます。
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ノマドワークで使われる場所
ノマドワークでは、さまざまな場所が職場になります。まさに遊牧民のように、さすらいながら各地で仕事をしています。
カフェ
定番の作業場所がカフェです。近年は、リモートワーカーやノマドワーカーの需要も増えており、電源席やWi-Fiの提供を開始したファミレスやカフェも増えています。なかには、コワーキングスペースとカフェが併設した店舗も存在します。
シェアオフィス・コワーキングスペース
郵便物や書類を受け取る住所が欲しいという理由で契約される方も多いです。また、カフェでは、オンライン会議が快適にできるほどの強固なネットワーク回線が構築されていないこともあります。その点、シェアオフィスやコワーキングスペースベースは、ネットワークの回線速度やセキュリティ面において一定の品質が担保されています。
ホテル・ゲストハウス
家だと子供がいる、家族がいて仕事がはかどらないリモートワーカー向けに、近年は、デイユースプランを提供するホテルやゲストハウスが増えています。カフェやシェアオフィスなどでも快適に仕事はできるものの、どうしても大事なミーティングや機密情報を扱う業務では、周りに人がいない落ち着いた場所が必要になります。ホテルやゲストハウスのデイユースプランを使えば、個室で周囲の目を気にすることなく仕事ができます。
ネットカフェ
カフェやホテル(デイユースプラン)などでは、21〜22時頃には閉店してしまいます。その点ネットカフェは24時間作業できます。緊急時や夜遅く仕事したいときに重宝します。
ノマドワークのメリット・魅力
ノマドワークの主なメリットは下記の3つです。
場所にとらわれず働ける
オフィスや自宅だけでなく、カフェやホテル、車の中、ときには新幹線など、あらゆる場所で働けます。自分の気分や集中度に合わせて働く場所を選べるため、モチベーションを維持できます。
パフォーマンスを最大化できる
新しいアイデアを創出したいときは、いろいろな人と交流が図れるゲストハウスのラウンジ、頭を使う仕事だからとにかく集中したい時はホテルやコワーキングスペースの個室など、仕事内容やコンディションに合わせて使い分けられるため、パフォーマンスを最大化できます。
人間関係のストレスが軽減される
職場で仕事をしていると、同僚や上司から追加で仕事を頼まれたり、電話の取り次ぎで他のメンバーに伝言をしたりと何かとコミュニケーションが発生します。しかし、ノマドワークであればオンライン上でのやり取りに限定されるため、人間関係のストレスは軽減されます。
ノマドワークのデメリット・課題
ノマドワークはメリットも多い魅力的な働き方ですが、一方でデメリットも存在します。
場所代がかかる
カフェを毎日利用すれば、1日に2箇所だとしても最低1000円、月で20,000円ほどかかります。コワーキングスペースを契約する場合でも、一日利用(ドロップイン)で1,000円程度、月額会費であれば月15,000円以上はかかります。会社で経費として申請できなければ、これらの費用をすべて自己負担しなければいけません。
場所を確保するのに手間がかかる
ノマドワークは場所にとらわれない働き方が魅力ではありますが、裏を返せば毎日働く場所を決めなければいけないということになります。必ずしも電源席が空いているとは限らず、ときには場所探しに苦労することも。
Wi-Fiの接続状況にムラがある
カフェやホテルなど、その場所によってWi-Fi環境が異なります。また、Wi-FIのルーターから遠く、接続が不安定な席もあります。過去に訪れた人の口コミや評判などから、Wi-Fi環境について事前に確認する必要があります。
セキュリティのリスクがある
オフィスでは、ネットワーク環境も一定のセキュリティ対策が施されていますし、また入退室管理システムで入り口を管理していることから、外部からの侵入やハッキングなどのリスクも低いです。その一方、カフェやホテルなどでノマドワークをする場合は、自分自身でセキュリティ対策を行わなければいけません。
ノマドワークに適した職種
ノマドワークに適している職種は以下です。
- プログラマー・エンジニア
- デザイナー
- カスタマーサポート
- ライター・編集者
- 動画編集
- コンサルタント
しかし、上の職種に当てはまっても、機密情報や顧客情報を多く扱う場合は、情報漏えいなどの観点から、ノマドワークはあまり現実的ではないでしょう。
そのため、弁護士、会計士、税理士、司法書士などの士業、人事労務、経理などは、企業や個人の重要情報を扱うことが多いため、なかなかノマドワークをするのは難しいかもしれません。
ノマドワークに向いている人・向いていない人
ノマドワークでは、煩わしい人間関係や職場から離れることができますが、仕事の進め方や仕事する場所の選定などはすべて自分で決めないといけません。自分のペースで仕事をしたい方にはピッタリの働き方ですが、決めることがストレスに感じる方には不向きかもしれません。
また、ノマドワークでは行く先の環境によって、机の高さ、空調、雰囲気、Wi-Fi速度などが変わります。どの場所でも集中のスイッチを入れられる人は向いていますが、その変化によってパフォーマンスが乱れてしまう人はかえってストレスになるでしょう。
まとめ
ノマドワークは、「場所にとらわれない働き方」として魅力的にきこえるかもしれません。しかし、自己管理も重要になりますし、仕事とプライベートの境界線もあいまいになるため、疲れると感じる人もなかにはいるでしょう。まずは、リモートワークで職場や自宅以外の場所で少しずつ働くことに慣れてみて、自分に適したワークスタイルなのか模索してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたひと
俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya
1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等