テレワークの普及を皮切りに、働き方や雇用形態のあり方が大きく変わろうとしています。複業やパラレルワークなどとともに、注目を集めているのがフリーランサーという働き方です。

 

自由に働けるイメージが強いフリーランサーですが、はたしてどのような働き方なのでしょうか?今回は、フリーランサーが注目される理由や魅力、メリットを解説します。

 

フリーランサーとは?

フリーランサーとは、会社や団体などに所属せず、個人で仕事を請け負う者を指します。
職種もさまざまで、Webライターやデザイナー、カメラマンなどのクリエイティブ職から、士業、エンジニアや翻訳、コンサルタントなど多岐に渡ります。

 

出勤時間や業務内容は制限されていないため、デザイナーをしながらプログラマー、士業をしながらライターなど、自分の得意や好きを掛け合わせて働くことができます。

フリーランサーと個人事業主、SOHOの違い

フリーランサーと似ている言葉に、「個人事業主」と「SOHO(ソーホー)」があります。フリーランサーは、あくまで会社や団体などに所属せずに個人で仕事を請け負う人の総称で、個人事業主やSOHOを内包する言葉です。個人事業主は、税務署に開業届を提出し事業を営んでいる人を指し、あくまで税務上の区分です。

SOHO(ソーホー)は「Small Office Home Office」の略で、小さな事務所や自宅をオフィスとする働き方、またはその仕事場を指します。

 

SOHOの定義は、小さな事務所か自宅で働く個人事業主かフリーランサーであることです。雇用契約がある会社員の場合は、SOHOではなく在宅ワークやテレワークに該当します。

日本のフリーランス人口は1,670万人に

ランサーズ株式会社の調査によれば、2021年における国内のフリーランス人口は1,670万人で、これは国内全体の労働人口の実に24%にのぼります。

 

ちなみに2018年は1,151万人で、およそ3年で500万人ほど増加していることがわかります。

参照:【ランサーズ】フリーランス実態調査 2021

海外のフリーランサーの割合は?

国内急激に増えているフリーランサーですが、海外ではどのような状況なのでしょうか?

 

アメリカにおけるフリーランサーは2019年時点で5,700万人で、全体の労働人口の35%にのぼります。ちなみに同年のマレーシアは、労働人口の26%がフリーランサーでした。

 

世界でもっともフリーランサーの割合が高いのがインドです。2019年のデータでは、労働人口の79%を占めています。その半数以上がソフトウェアやテクノロジーなど開発系に従事するフリーランサーでした。

フリーランサーが増える理由

ここ2、3年で急激にフリーランサーが増えるのにはどのような理由があるのでしょうか。

デジタルツールの普及

インターネットが発展してから、加速度的にIT技術は進化を遂げています。今やオンラインツールを使ったコミュニケーションは当たり前になり、いつでもどこでも働ける環境が整備されています。

 

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ガイドラインの整備

組織に属さないフリーランサーは、会社の保護を受けることなく、自衛しながら業務を進めなければいけません。そのため、クライアントに不当な条件を押し付けられたり、極端に安い報酬を提示されたりするケースも見受けられます。このような状況を受けて、厚生労働省は2021年3月「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン 」を策定しました。

 

このガイドラインでは、フリーランスと取引を行う事業者、もしくは間に入る仲介業者が遵守すべき事項が細かく明記されています。

イノベーションの促進

組織内には同質の人材が集まりやすく、社内の中でディスカッションをするだけでは、爆発的なイノベーションは生みにくいでしょう。フリーランサーのような外部人材のナレッジやノウハウを借りることで、既存の概念を打ち破る斬新なアイデアを生み出すことができます。

 

フリーランサーのメリット

フリーランサーは、組織に属せず独立して事業を運営しているため、ワークスタイルや事業内容を自由に決められるほか、出した成果にたいし100%報酬を得られる魅力があります。

 

収入の上限がない

会社に所属していると、収入は人事考課や給与制度に依存します。しかし、フリーランサーは成果を出した分が収入に直結するため、どこまでも収入を伸ばすことができます。

 

人脈が広がる

フリーランサーは取引先も協業先も自由に選べます。つまり、人脈を多く持っている人が有利になります。取引はすべて継続するとは限らず、単発のプロジェクトもあるため、必然的に出会う人の数は多くなります。

 

また、スキルアップや情報収集のため、同業者とつながることもあるでしょう。フリーランサーが集まるコミュニティに参加したり、知人に紹介してもらったり、自由自在に人脈形成できるのもフリーランサーの醍醐味です。

取引相手を自由に選べる

会社では上司や取引先を自由に選べません。しかし、フリーランサーであれば、安く買い叩くクライアントや馬の合わない協業先がいても、取引を中断できます。(契約内容の履行が前提)ただし、断るということは売上を逸失することと等しく、そこには相応の自信と勇気が求められます。

 

自由な働き方ができる

自由に働く時間や場所を決められます。フリーランサーに土日休みという概念はありません。平日休んで土日に働く、毎日少しずつ休みながら働くというワークスタイルを取ることもできます。特にホワイトカラーの仕事であれば勤務地もオフィスに依らず、カフェや自宅、車の中など、どこでも働けます。

 

税負担を軽減できる

会社に所属していると、給与から天引きされる形で社会保険料を支払います。フリーランサーは、年度末の確定申告で売上と経費を申告し、所得に応じて税を収めます。特に、動画編集、デザイナー、ライターのようなクリエイティブ職では、経験がそのまま業務に活かせるため、大半の費用を経費計上できます。

フリーランサーのデメリット

フリーランサーは自由で成果を上げた分収入に反映される魅力的なワークスタイルですが、その反面、実力が伴わないと安定した収入を得られなかったり、タイムマネジメントが疎かになり、セルフブラック企業状態になったりすることもあります。

 

仕事とプライベートの境目がなくなる

働く時間を自由に決められるため、自分のペースで仕事ができます。しかし、タイムマネジメントが疎かになると、納期まで余裕がなくなったり、働きすぎたりして、心身に支障が出てしまうことも。気持ちの切り替えやモチベーションの維持には工夫が必要になります。

 

収入が安定しない

フリーランサーは頑張りに応じた分のリターンがあるため、収入は青天井ですが、成果を上げられなければ収入は得られません。また、営業も自力で行わなければいけないため、特に独立当初は収入は不安定になります。継続案件を受注できても、先方都合で契約を切られてしまうこともあります。

 

孤独になりやすい

会社勤めだと、同僚や上司、部下との付き合いが煩わしく感じるものの、いざとなれば相談できる相手がいます。しかし、フリーランサーは組織に属さず個で動くため、目的や悩みを共有できる仲間がいません。

 

自己管理が難しい

フリーランサーは、業務内容、勤務地、労働時間、年間休日、福利厚生など全て自分で決められます。自由で楽しそうなイメージがありますが、確定申告や節税対策、採用といった業務もすべて行わなければいけません。また、有給休暇も失業保険もありません。フリーランサーは、あくまで組織に属していない独立した存在であるため、自分で自分を守らなければいけません。まさに、自由と責任は隣り合わせと言えるでしょう。

 

フリーランサーに向いている人・向いていない人

自分の強みをダイレクトに仕事に反映したい方、変化が多い環境が好きな方、新しい人間関係を広げるのが好きな方にはうってつけのワークスタイルです。また、フリーランサーは実力で判断されるため、常に時代に適合したコミュニケーションスキルや専門知識を磨いておく必要があります。そのため、成長意欲が高い方も向いています。

 

一方、変化が苦手な方、コミュニケーションをとりながら働くのが苦手な方には不向きなワークスタイルと言えます。

 

さらに、勤務時間や土日の境界線があいまいになるため、オンオフをつけたい方にとっては、フリーランサーの働き方はストレスになる可能性があります。

終わりに

世の中の人々の働き方や生き方にたいする意識が変化し、今や「働く=会社や組織に属する」だけではなくなってきつつあります。

 

働き方を考えることは、言い換えれば生き方を考えることと同義です。自分が何を大切にしたいのかを考えたときに、もしかしたらフリーランサーも可能性のひとつになるかもしれません。ぜひ参考にしてもらえればと思います。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等