HRテックや健康経営など、ITの発展と働き方改革により、HR業界では様々な考え方や役割が生まれています。今回、注目したいのがCHRO(Chief Human Resource Officer)という役割です。CHRO(Chief Human Resource Officer)とは?

CHO/CHROとは?

CHROとは「Chief Human Resource Officer」の略。「ヒト・モノ・カネ」のうち、人を扱う最高人事責任者のことです。CHO(Chief Human Officer)と呼ばれることもあります。人事のプロフェッショナルとしてはもちろん、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高経理責任者)などと連携し、企業価値の向上や経営方針の決定など、より高い視座から動くことを求められます。

 
また、「Chief Human Officer」とは別に、「Chief Happiness Officer」があります。こちらは、社員の満足度や幸福を高めるべく、社内制度や企業文化の改革を行うポジションで、エンプロイーエクスペリエンスやエンプロイーサクセスといった言葉とともに、近年注目されています。「Chief Human Resource Officer」が兼任することもあれば、別の担当者が担うこともあります。

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 「CIO」「CRO」とは何が違う?

「CIO」「CRO」は聞き慣れない言葉ですが、「CIO」は「Chief Human Officer」で最高情報責任者、「CRO」は「Chief Risk Officer」で最高リスク管理責任者となります。CIOは、情報管理はもちろん、ITツールの見直しや業務効率化、また情報を活用した経営戦略の立案など、深く経営に関わる重要なポジションで、CEOやCFOと並び重宝されます。CROは、主に医療業界、特に臨床試験の分野で活躍するポジションで、日本では1980年頃から登場し、2000年頃から急激にニーズが高まっています。

人事部長との役割の違い

「Chief Human Resource Officer」を直訳すると最高人事責任者となるため、人事部長と同様の役割として扱われるケースが多いですが、CHROは経営的な視点から、人事戦略、福利厚生、労務管理など、幅広い事柄を検討し実行します。経営に参画できる大きな権限を持てる一方で、経営者同等の責任を担います。

CHOは多くの企業で不足している

IDC JAPANが2016年10月に実施した「国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向の調査結果」によれば、CHO/CHROの設置率は10.5%程度で、41.3%の企業では人事部長が役割を兼任しているということが明らかになっています。

<参照:「国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場動向の調査結果」>

前述の通り、CHROの役割は人事部長とは一線を画するものであり、経営的な視点から、他の部門と連携しつつ、戦略のグランドデザインを描き、それを遂行させる実行力も必要です。

CHO/CHROが求められる背景

CHO/CHROがこれほどに注目されるようになったのは、一体どうしてなのでしょうか?必要になった背景には以下の2つが大きく挙げられます。 

労働人口の減少

以前は、採用コストと時間をかければ、必要な人材を確保することができました。しかし、少子高齢化により、労働人口が減っていく中では、従業員の能力の最大化や、定着率の向上に意識を向けることが必要です。

働き方の多様化

副業解禁、長時間労働の規制により、パラレルワーク、リモートワークなど働き方が多様化しています。今後、従業員はより多くの働き方の選択肢を持つことができます。人事部門としては、杓子定規の保守的な体制ではなく、よりフレキシブルに迅速に変化に対応できる体勢を整えることが求められます。そのためにも、経営戦略と人事戦略をあわせて考えることのできるCHOが必要不可欠です。

時代の流れが早い昨今においては、より人事に長けたプロフェッショナルな人材と、経営と一体化した人事戦略の立案ができる人材が必要不可欠です。

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CHO/CHROの主な役割

CHO/CHROの役割については、日本CHO協会によって大きく2つに定義付けられています。

戦略のパートナー

戦略のパートナーとは、経営視点から人的資源の課題を捉え、企業の発展や成長に必要なプランを策定し実行することです。また、他の責任者であるCEOやCFO、COOなどと連携し、企業のビジョンや理念の達成に向けてコミットします。

変革のエージェント

現場の意見や改善点を吸い上げ、それを経営に反映させるのがCHOの役割の一つです。自らがイニシアチブを取り、企業文化を変えていく実行力が求められます。

<参照:日本CHO協会より>https://www.j-cho.jp/about/

 CHO/CHROに求められる能力

CHO/CHROに求められる能力は、大きく分けて以下の3つです。

 経営戦略の理解

労務、採用、福利厚生という人事部門の業務全体の理解はもちろん、人事部門が経営にどのような影響を与えるか、いわゆる経営の目的と組織や部門の目的を正しく把握し、整合性をもたせる力が求められます。また、CFOやCOOとともに経営者としての責任を持ち、人事がコストセンターであるという自覚・認識を持つことが重要です。

 変革力

CHROは、経営と現場を結ぶ役割でもあるため、人に寄り添い、信頼される力も大切です。CHROが担う人事部門は、入社〜退職まで人にまつわるあらゆることに関わる部門です。ヒト・モノ・カネの中でヒトは最も非合理的で変動性の高い資源であり、ある意味もっとも”泥臭い”アクションの積み重ねが重要になります。ヒトを扱うには、ロジックだけでなく、実行力や変革力、人を牽引するリーダーシップが必要です。

 人事のプロフェッショナル

CHROは、最高人事責任者という肩書きの通り、人事部門が携わる全ての業務における責任を負います。全ての人事部門の業務を熟知し、現場レベルで理解できることが最低要件です。ただできるだけでなく、それをプロフェッショナルとして遂行できること、また、指導・管理できる能力も必要です。

健康経営とは?

CHROと密接に関連があるのが健康経営という考え方です。近年さまざまな企業で採用されており、注目のキーワードです。

健康経営とは、従業員の健康管理を経営課題として、戦略的に取り組む経営手法のこと。アメリカの心理学者であるロバートローゼン氏が執筆した書籍「The Healthy Company」に基づかれた考え方です。

このように健康経営が注目されるようになった背景には、労働人口の低下が挙げられます。

日本国内は深刻な少子高齢化の問題を抱えており、各企業はより少ない人数で成果を最大化することが求められています。

健康経営の目的

健康経営の目的は、ボトルネックである「健康」に投資をし、”好循環の連鎖を生み出す”ことが最大の目的です。

労働生産性の向上

労働生産性は、ITツール導入により効率化できますが、それは表層的な問題です。本質的な問題は、従業員の健康状態です。健康の維持・管理ができていれば、高いモチベーション・集中力がキープされ、全体の業務効率の改善にもなり、ミスによるトラブルも起こりにくくなります。

ブランドイメージの向上

業績が向上することで、健康経営へさらなる投資を行うことができます。それにより、従業員の定着率も高まります。企業のブランドイメージの向上にもつながります。

CHO/CHROの採用事例

最後に、CHO/CHROのポジションを採用している企業事例とその取り組みをご紹介します。

メルカリ

メルカリでは、ミッションやバリューの明確化、社内文化や考え方の発信を積極的に行っています。スタートアップからメガベンチャーに急激に拡大した背景から、従業員の人数も増加、多様化し、「カルチャードック」と呼ばれるドキュメントに、組織づくり、働く環境、人事戦略などを全てを明文化しています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、従業員の主体性を引き出す「あした会議」と呼ばれる経営陣と一緒に新規事業や中長期の経営課題について議論する合宿を2006年から行っています。これにより、新しく設立した会社は30社ほど、売上は1000億円を突破しました。

終わりに

まだまだ、多くの企業ではCHO/CHROという役割を重要視していない傾向がみられます。しかし今後、経営戦略と人事戦略は切っても切り離せない関係になるのは必至。これを機に、御社でもCHO/CHROという役割を配置を改めて検討してみては?

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