”コミュニティ”や”つながり”の重要性が増す中で、注目されているのがコミュニティーマネージャーという仕事です。とはいえ、コミュニティーマネージャーといわれても、いまいちピンと来ない人も多いのでは?本記事では、コミュニティマネージャーの定義や役割、仕事内容などについて解説いたします。

 

そもそもコミュニティって?

まず、コミュニティマネージャーの話をする前に、コミュニティの定義について整理したいと思います。まず、コミュニティという言葉の語源は、アメリカの社会学者ロバート・M.マッキーバー氏が提唱した主意主義的社会行動論の中で言及した「コミュニティ」と「アソシエーション」に由来します。

 

もともと、コミュニティは「地域で利害をともにする共同体」を意味していましたが、インターネットを通して世界中の人とつながれることから、今日では、地域性だけでなく「共通目的がシェアされていて、かつ新しい価値が生まれる共同体」という広い意味合いで、趣味・ビジネスなどさまざまなシーンで用いられています。

コミュニティマネージャーとは?

名前の通り、コミュニティをマネージ(管理する)仕事を指します。交流を促進したり、業務提携のマッチングをしたり、顧客とサービス提供者のハブとなる存在です。主にアメリカでは、IT企業を中心にコミュニティマネージャーを採用しており、注目度の高い職種です。ソーシャルメディアなどサービス自体にコミュニティ要素を有している企業から始まり、現在ではメーカーなど非IT企業においても、コミュニティマネージャーの重要性が浸透しています。コミュニティという定義があいまいな上、コミュニティマネージャーの画一的な定義はなされておらず、企業によって求められるスキル・役割は変わります。

 

日本でも、コワーキングスペースやゲストハウスなどの登場で、オフラインにおけるコミュニティマネージャーの重要性が認識され始めていますが、未だ社会的認知は低く一つの職種として理解されないケースも多く存在しています。

コミュニティビルダーやコミュニティデザイナーとの違い

コミュニティマネージャーと似た言葉に、コミュニティビルダーやコミュニティデザイナーがあります。株式会社ニットの西出さんの解説によれば、

コミュニティビルダー…コミュニティを生み出す
コミュニティマネージャー…既存のあるコミュニティを大きく育てていく
コミュニティデザイナー…既存のあるコミュニティを自走するように設計する

というように役割がそれぞれ異なります。

ただ、現状ではコミュニティマネージャー、コミュニティビルダー、コミュニティデザイナーは混同されて用いられていることが大半で、それぞれの企業独自で定義づけられているのが現状です。

コミュニティマネージャーの種類

さまざまな定義が乱立しているコミュニティマネージャーですが、大別すると以下の2つに分類できます。

購買促進型

自社製品やサービスの認知向上のために、座談会やユーザーインタビューなどを実施し、
ユーザーを巻き込み、自社製品やサービスを共創していく動きを主導します。アンバサダーマーケティングなどもこちらの領域に含みます。

組織活性化型

SNSやマッチングサービス、コワーキングスペースの運営など、コミュニティ自体がサービスや商品になっている場合は、ユーザー同士の交流ができる機会の提供、マッチングの提供、サービスや商品の使い方の提案など、その製品の品質向上のための施策を行っていきます。

コミュニティマネージャーに求められる資質・スキル

コミュニティマネージャーに求められる資質について、ソーシャルメディア関連のコンサルティング会社、アルティメーター・グループのエレミヤ・オーヤン氏は、以下の4つを提唱しています。

コミュニティの推奨者

コミュニティマネージャーは、企業のメンバーでもあり、ユーザーの代表でもあり、いわば企業とユーザーの架け橋、ハブ的な役割を持ちます。的確に、ユーザーのニーズを汲み取り、それを反映させるよう働きかけます。

ブランドの伝道者

従来のマーケティング手法を応用し、協力体制のもと、サービスや商品のPRを行っていきます。そのためには、外部イベントでの登壇、外部メディアでの寄稿など、自らがフロントマンとなり、信頼を勝ち取っていく必要があります。

コミュニケーションと編集の技術

コミュニティは複数の人がいて成り立つ共同体であり、変化を伴うものです。違う人同士が交われば化学反応が起こり、良い方向に進むこともあれば、トラブルに発展することもあります。コミュニティを編集し、良い形に発展させていくのもコミュニティマネージャーの腕の見せ所です。

コミュニティの声を集める

コミュニティの声を拾い、すぐにサービスや製品に反映させていくスピード感・柔軟性が求められます。予定調和ではなく、常に現状を打破できるチャレンジ精神、多様性を受け入れるマインドも重要です。

あらゆる職種でキーパーソンとなるコミュニティマネージャーの存在

ITの発達により、簡単に誰でも情報や人にアクセスできるようになりました。しかし、その弊害としてパソコン、スマホ、テレビをつければ至るところで広告が表示され、情報の選別が必要になってきました。ユーザーは、「広告を見て購入する」から「身近な人から購入する」と購買行動が変化しています。

インターネットによって関係が希薄になっているからこそ、人とのつながりを求め、そのつながりの中で商圏が成立する、そのような流れの中において、場を成立させる、醸成させるコミュニティマネージャーはキーパーソンとなります。

多様な人材の融合

同じような人材が集まればコミュニティの結束力は高まりますが、裏を返せば閉鎖的な場ともいえます。多様な人材が融合することで、イノベーションが生まれたり、新陳代謝が生まれ、常にコミュニティが活性化します。コミュニティマネージャーは、多様な人材の緩衝材となり、なめらかに編集・融合していきます。

共創力の強化

コミュニティは、見込み客を囲い込む手段ではありません。あくまで、リピーターやファンと一緒にサービスや商品を盛り上げていくための交流の場となります。サービスや商品をよく使うリピーターを共創者にし、一緒にサービスを作っていきます。

コミュニティマネージャーに向いている人

いろいろな人のハブや緩衝材の役割を担うため、人とコミュニケーションをとるのが好きな人・得意な人は向いています。また、コミュニティマネージャーといっても、業務内容は多種多様です。コワーキングスペースのコミュニティマネージャーを例に挙げても、契約書の読み合わせからイベント企画、SNSやブログなどの情報発信、人材マッチング、スポンサー獲得など、一概に決まっているわけではありません。そのため、一定の好奇心やチャレンジ精神も必要です。

コミュニティマネージャーの企業事例

コミュニティマネージャーを採用している企業事例をご紹介します。

スターバックス

スターバックスでは、「コミュニティコネクション」と呼ばれる活動を実施しています。キッズパーティーやテイスティングパーティー、クリーンアップ(清掃活動)などを行い、店舗のある地域住民との交流を積極的に図っています。

メルカリ

メルカリでは、「みんなのメルカリ文化祭」や「メルカリサロン」など、メルカリのユーザーとのコミュニケーションを図る場を作っています。

 

メルカリサロンとは、メルカリユーザー同士がメルカリの楽しさやノウハウを共有できるオフラインイベントで、定期的に開催しています。みんなのメルカリ文化祭は、メルカリサロンよりもさら大規模なイベントで、メルカリユーザーとメルカリの従業員が共創して作るイベントになります。このように、コミュニティマーケティングを通じて、メルカリがリーチできていない顧客層と出会い、その顧客のインサイトを探ることで、より深いマーケティング・販売戦略につなげることができています。

ランサーズ

ランサーズでは、「新しい働き方LAB」と呼ばれるコミュニティを運営しています。「新しい働き方LAB」では、東京、福島、福岡のように地域ごとにコミュニティが存在し、ランサーズが推薦した「ランサー(ランサーズに登録している会員のこと)」がコミュニティマネージャーを務めます。ランサーズのプロモーション企画との連携、コミュニティマネージャー主体の共創型イベント「新しい働き方フェス」の実施などを通して、ランサーズの価値向上やブランディング強化などを行っています。

まとめ

コミュニティマネージャーはまだまだ日本では新しく、存在価値が認められにくい職種ではあります。ただ、裏を返せば、コミュニティマネージャーという仕事を自分で作り出し、社内でのプレセンスを高めることもできるわけです。ぜひ、この記事を参考にコミュニティマネージャーという仕事に関心を持ってみては?

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑
Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等