連載「マツリカで働く」では、 マツリカの各チームのキーパーソンに、仕事をする上で大切にしているマインドやスキル、求める人物像などを聞いていきます。

 

今回お話を聞いたのは、データサイエンスチームの永多さん、PdMの松井さん。マツリカではmax(マックス)、Red(レッド)の愛称で親しまれています。 マツリカは、AIを使ったクラウド営業支援ツールであるSensesを開発・提供している会社であり、AIとデータ分析を重視してきました。今回は、AI機能に携わっているお二人に、日頃の業務に関して聞きました。

 

ー 本日はよろしくお願いします。早速ですが、お二人の自己紹介をお願いします!

 

営業を科学するマツリカのAIチームに迫る! 〜合言葉はOver Fitting〜|mazrica times

 

永多 慧(以下、max):よろしくお願いします! Redさんとは同期入社で異なるチームだったので、各々のチームに関して気軽に雑談をしてきたのですが、こうやって一緒のチームで仕事をするのは、不思議な気持ちです(笑)

 

松井 優樹(以下、Red):そうですね(笑)

 

 max:私の紹介を軽くすると、現在マツリカでData Science DivisionのDivision Managerをしていて、AIチームではAIモデルの企画、開発、運用をしています。

 

Red:私は、マツリカに入社したときは、カスタマーサクセスDivisionのメンバーでした。そこでは、顧客のSenses導入・運用支援やリアルタイムにユーザーの質問に答えるチャット対応などユーザーのSensesの活用に対するボトルネックの解消をしてきました。そこから3年半程が経過し、現在AI機能のPdM(以下AI PdM)をやっています。

 

PdMの仕事に関してお話すると、PdMの仕事は、開発するサービスの機能の方向性や内容、具体的な仕様など、「何を作るか」について考えて決めることです。このとき、現状のサービスのどこに課題があって、サービスはどこに向かおうとしているのか、といったサービスの知識が必要ですし、課題解決のために開発可能な機能を考えるというエンジニアの知識も必要になります。よって扱う内容は広範ですし、様々な職種の人と話し合うことが大事だと思っています。

 

 max:傍から見ると、結構急な感じでしたよね(笑)

 

 Red:そう見えたかもしれません(笑) ただ、ユーザーに近いところにいたので、営業に対する課題やSensesの活用に対する難点を考える時間は多かったです。なので、これまで培ってきたノウハウを活かしたAIサービスの企画ができるのではと思っています。今は、AI系の記事をウォッチしたり、maxさんと企画について話し合う中で、AIの知識は少しづつ付いてきたかなと感じます。

 

max:Redさんとは、PdMになる前からPythonやデータ分析に関する勉強会をしてきたので、それらが今に繋がっていると思うと嬉しいです!  

 

ー 二人の関係性が垣間見えてきたところで、Sensesに関してお聞きしたいです。SensesのAIサービスにはどのようなものがあるのか教えて下さい!

 

max:営業組織における問題として、営業の方々のノウハウの属人化があります。案件に対する活動履歴やお客様に合わせた提案などの情報が残らなかったり、残っていたとしても情報が膨大であまり示唆を得られないという状態になっています。しかし、それは非常にもったいないことです。様々な案件の情報を読み解くことで、進行中の案件が良い状況なのかリスクがある状況なのかがわかりますし、過去にうまくいった案件を参考にすることもできます。これらを解決し、営業の蓄積されたデータを有効活用するために、Senses Insightを作りました。  

 

Senses Insightは、進行中の案件に対して受注確率の予測、類似案件の抽出、ネクストアクションをレコメンドします。受注確率の予測によってその案件の進捗度合いを客観的に見られ、マネージャーと対策を練りやすくなります。更に、進めている案件に対して、類似している成功案件が表示されるので、受注するまでの打ち手が増えます。

 

営業を科学するマツリカのAIチームに迫る! 〜合言葉はOver Fitting〜|mazrica times|1

 

 Senses Insightでは、予測結果に影響した項目(営業活動に関する詳細項目)も見られます。これにより、どの項目が受注への影響度合いが強いのか、逆にどの項目がだめなのかがわかり、対策や今後の案件への行動改善にも活かせます。   他にも、名刺をSensesに自動で取り込む名刺OCRや、取引先データの重複を判定し、統合できる取引先データの一括名寄せ機能もあります!  

AIは企画に宿る

ーー 様々なAI機能がすでにあるのですね!AIサービスは開発が大変という事をよく耳にするのですが、AIサービスはどのようなプロセスで作られるのですか。

 

 Red:まずは、営業課題の一覧表やユーザーヒアリングなどをもとにして、需要の高いテーマをリストアップします。その中からmaxさんと話しながら、取り組むテーマの順番を決め、AIモデルの開発をしてもらっています。AIモデルと企画が完成すると、サービスをリリースするための開発に入ります。この開発が完了すると、リリースされます。

 

 max:AIモデル開発では、AIのテーマが決まるとAIモデルの設計をし、どのようなモデルが良いのかを考えます。モデルの選定では、様々なモデルをとにかく試してみます。GBDTであるXGBoostやLightGBM、Deep Learning系、簡易的な機械学習モデルなどです。目的に沿った評価指標や推論時間からどのモデルにするかを決めます。

 

 Red:モデルの選定もそうですが、Senses Insightでは学習データの特徴量の作成に苦労していましたよね。

 

max:そうですね(汗)Senses Insightではログ形式の時系列データを使っており、特徴量は集計しないと作れないです。なので、案件を進める上で営業の方々が意識していることを指標化するために、何度も話し合いましたね。1つの指標に対する議論でMTGが終わることがありましたし、あれもこれもと出過ぎたこともありました。そのように試行錯誤している中で、これまで注目されていなかった項目で影響度合いの強いものを発見し、営業プロセスの改善に活かせました。

 

 ー AIモデルを作っている中で得られた知見が実際に活かされていくのは素晴らしいですね。AIモデルを開発するうえでは、チームの体制が重要になると思うのですが、AIチームの体制について教えて下さい!

 

 max:AIチームでは、R&Dチームとサービスリリースのための開発チームの2つからできていますこれは、AIサービスの企画強化とAIサービスのリリースまでをスムーズに行うためです。  

 

AIサービスの企画強化に関しては、PdMとAIモデル開発エンジニアとデザイナーの3者で話し合い、UXを意識しながら企画を練っています。PdMとAIモデル開発エンジニアが話し合うことで、企画の妥当性を詰めたりAIの幅が広がったりします。更に、デザイナーが加わることで、サービスの活用までを意識した企画になります。

 

  AI開発でよく起きる問題は、AIモデルを開発してもサービスとしてリリースされないことです。これを防ぐために、AIサービスをリリースするためのエンジニアチームを設けています。これにより、R&Dが終わればサービス開発がスムーズに行われます。この体制は、AIモデル開発エンジニアがモデル開発に集中できるという点でも良いかなと思っています。開発がスムーズに行われるためには企画の練り具合によるため、PdMの力を借り企画を強化してきました。

 

 Red:練りに練りに練りに練ってますからね(笑)

 

営業を科学するマツリカのAIチームに迫る! 〜合言葉はOver Fitting〜|mazrica times|max

 

ー 企画の強化という話が出ましたが、RedさんはこれまでAIを専門にされてきてはいない中でAI PdMをやられていて、大変ではないですか。

 

Red:これまではカスタマーサクセスをやってきて、サービスの課題に関してはある程度把握しているので、課題起点でサービスの企画を考えています。まだAIの知識が十分ではないので、企画時に妥当性に関してmaxさんとガンガン話をさせてもらっています。企画とAIモデル開発は同時並行で進むので、企画の修正がしやすいですし、企画を考えながらAI知識も深まってきています。   最初はAI PdMという難易度の高さそうな仕事に対して身構えましたけど、その困難な状況だからこそ楽しめる自分もいて、面白いです(笑)

 

 max:Redさんは少し変わっていますよね(笑)

 

営業を科学するマツリカのAIチームに迫る! 〜合言葉はOver Fitting〜|mazrica times|red

 

営業のインフラを目指す

ー AIチームの体制から大変だったことまで幅広くお話していただきましたが、最後に今後の展望についてお聞かせください!  

 

max:AIの本質は、「自動化」と「人間の能力の拡張」だと思っています。なので、営業活動において、AIでできることはどんどん自動化していき、営業の方々がお客さんとのコミニケーションによりリソースを割けるようにしていきたいです。そして、お客さんとのコミュニケーションをより生産的にできるように、情報の整理をするためのAI機能の開発にも挑戦していきたいです。   それを実現させたいのですが、現状はAIモデル開発エンジニアとサービス開発エンジニアの両方でまだまだ不足しているので、AIチームの採用を強化しています。

 

  Red:PdMでは、現在UXの向上を強く意識しています。これを更に進めるために、ユーザーの活用状況から既存の機能を改善したり、企画段階でUXを加味したKPIの設計プロセスを入れたりということに挑戦しています。 「営業においてSensesのAI機能は使うのが当たり前だよね」といったインフラのようになっていくことを目指していきたいです。

 

  max:「営業のインフラ」良い言葉ですね(笑)  

 

ー 本日は、貴重な話を聞かせていただきありがとうございました!  

 

max:こちらこそ、Redさんと仕事に関してだけを真面目に話したのは初めてかもしれないので楽しかったです(笑)!  

 

Red:自分もAIチームに関してより深く知ることができました! 最近学ぶことが多いのですが、AI領域でよく使われる「Over Fitting(過学習)」は良い言葉だなって思いました。  

 

max:AIモデル開発者としては天敵ですけどね(笑)  

 

Red:Over Fittingする意気込みで吸収していきたいなって思って(笑)  

 

max:確かに大事な心意気ですね(笑)本日はありがとうございました!  

 

Red:ありがとうございました!

 

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