コロナ禍によってテレワークが浸透し、ビジネスチャットの利用が広がっています。遠く離れた場所にいても、すぐにやり取りができる便利なツールですが、テキストだけのコミュニケーションのため、誤解が生まれたり、細かなニュアンスや温度感が伝わらなかったりして、ストレスに感じることもあるのでは?ビジネスチャットをどう活用すれば、もっと上手に使いこなせるのでしょうか?

本記事では、ビジネスチャットでコミュニケーションを円滑に進めるコツについて解説します。

 

テレワーク人口の増加に伴い、ビジネスチャットツールが普及

テレワークの浸透に伴い、ビジネスチャットツールの利用者は増加傾向にあります。日経BPが実施した調査では、ビジネスチャットを導入している企業の割合は43.0%でした。しかし、「導入しておらず、今後の導入の予定もない」と回答した人は37.6%と、ほぼ割合は拮抗しています。

 

参照:企業のビジネスチャット利用実態調査2021

ビジネスチャットだけだと、「意図が伝わらない」という課題も

ビジネスチャットは、業務効率を向上させるツールではあるものの、テキストコミュニケーションが主流となるため、正確な意図を伝えるにはコミュニケーションの当事者同士のライティングスキル(伝える力)に依存します。

 

実際に、株式会社パルケが行った調査でも、ビジネスチャットの課題としてもっとも回答が多かったのが「文章だけだと言いたいことが伝わらない」で、42%でした。

 

また、次に「レスが遅いと仕事をしていないと思われる」が35.8%と、チャット特有の悩みも見受けられました。チャットの即時性がかえってプレッシャーになってしまう懸念もあることが、ここから伺えます。

 

参照:現在の働き方とコミュニケーション課題

ビジネスチャットでよくあるトラブルとその原因

ビジネスチャットは非常に便利なツールですが、ひとたび使い方を間違えると、業務効率の悪化や、仕事の充実度を低下させる原因になります。ここでは、よくあるトラブルとその原因について解説します。

情報がうまく伝わらず、業務に支障が発生した

ややこしい状況を説明するときに起こりがちなトラブルです。主語が抜けていたり、因果関係が矛盾していたり、主観と事実が混在していたりすることで、情報が正確に相手に伝わらず、業務の遅滞やミスを引き起こします。

悪気はないのに、言い回しで相手を怒らせた

伝えた側は、他意はないけど受け手側が「不愉快な思いをした」「攻撃されたと感じた」と誤解し、関係が悪化するパターンです。事実を伝えることに必死で、どのような感情で伝えているかまで配慮できていないことで発生することが多いです。

 

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会話のテンポが合わず、ストレスが溜まってしまった

ビジネスチャットは、本来メールと同様に非同期なコミュニケーションであるはずですが、手軽さからスピーディーなやり取りになりやすく、人によっては話についていくのでやっとで疲れてしまうことも。また、対面やビデオ通話のように、相手の表情や雰囲気などをうかがい知ることができないため、会話のテンポを合わせることが難しくなります。

ビジネスチャットで守るべきマナーとは?

ビジネスチャットは、テキストコミュニケーションが中心となりますが、メールとは似て非なるもので、まったく別のマナーやルールがあると認識する必要があります。ここでは、ビジネスチャットのマナーについて解説します。

“情報伝達”ではなく、”意思疎通”であることを意識する

メールは、私的な想いや感情を差し挟むより、挨拶や名乗り、署名など基本のマナーやルールにしたがって伝えたい情報を記載することが重視されます。

それに対し、ビジネスチャットはLINEやTwitterのような砕けたカジュアルな文体が好まれます。淡々と情報伝達をするよりは、感情や表情を伝える意思疎通が重視されます。ここを軽視すると、「この人失礼だな」「怒っているのかな?」と、認識の齟齬や感覚のずれが生じるようになります。

即時のリアクションを期待しない

手軽にやり取りできることから、コミュニケーションのスピードが速くなりがちですが、あくまでメールと同様に非同期なコミュニケーションです。この認識が抜け落ちていると、送り手は「なんで早く返してくれないのか」「確認してもらわないと仕事が進まない」とフラストレーションが溜まってしまいますし、受け手には「返さなければいけない」というプレッシャーを与えてしまいます。

可能な限り、コミュニケーションはオープンに

多くのビジネスチャットツールには、複数人数でトークができるグループ(チャンネル)やスレッドの他に、ダイレクトメッセージ機能があります。情報共有の即時性を保つためにも、1to1のダイレクトメッセージではなく、グループ(チャンネル)やスレッドでの会話を心がけましょう。オープンにすることで、よりポジティブで生産的なコミュニケーションが生まれますし、相互不信が生まれる心配もありません。

必要があれば、音声コミュニケーションに切り替える

ビジネスチャットで、大半のコミュニケーションは可能ですが、細かなニュアンスを伝える必要があるときや、緊急性が高いときは、音声コミュニケーションが効率的なケースもあります。状況に応じて使い分けましょう。

ビジネスチャットでコミュニケーションを円滑に進めるコツ

では、どのようなことに気をつけると良いのでしょうか。ここでは、ビジネスチャットでコミュニケーションを円滑に進めるコツをまとめてみました。

感情が伝わるように、語尾や感嘆符を使う

先ほども書いたように、ビジネスチャットでは情報だけでなく、自分の感情や想いを相手に伝えることが重要です。なぜなら、ビジネスチャットでは情報伝達ではなく、意思疎通が重要視されるからです。そのため、ドライな印象を与える「。」や「、」だけにせず、ときには「!(感嘆符)」や「…(3点リーダー)」、関係性が親密であれば顔文字や絵文字などを、なるべく感情が伝わるように工夫しましょう。

結論から述べる/伝えたいことは簡潔にまとめる

今では、メール、ビジネスチャット、CRMなど、複数のプラットフォーム上で頻繁にコミュニケーションが発生します。そのような中では、冗長すぎる文章は読まれませんし、正しく理解されない可能性があります。伝えたい結論を先に記載し、詳細については別途文書ファイルにまとめるなどして、文章を簡潔にするとベターです。

重要な箇所は目立つように強調する

上でも書いたように、大量の情報が氾濫する昨今では、読んでもらえて、かつ記憶に留まる工夫をすることが重要です。特に、重要な箇所には太文字にする、鉤括弧をつける、米印をつけるなど、目に留まる工夫をしましょう。

5W1Hを意識する

対面コミュニケーションや音声コミュニケーションでは、細かいニュアンスや雰囲気を伝えやすいですが、テキストは意識しないと、誤解が生まれやすいです。特にやりがちなのが主語の抜け漏れです。くどいと感じるほどに「5W1H」を意識するくらいが、テキストではちょうど良いバランスとなります。

主観と事実を分けて書く

ビジネスコミュニケーション全般に通ずることですが、特にビジネスチャットにおけるコミュニケーションで気をつけたい点です。事実とは、現状で発生している事象や出来事、調査・検証して確認できることを指します。例えば、クライアントが会議で話した内容、ユーザーが書き込んだ口コミ・レビュー、調査データなどが該当します。一方、主観は事実に対する個人的な意見や見解、判断を指します。

 

事実と主観が混同した文章だと、読み手をミスリードしてしまい、業務上のトラブルやミスを招きます。これは、事実そのものか、それとも事実に対する個人的な見解や解釈なのか、冷静に考えた上で分けて書くようにしましょう。

終わりに

電話、メール、ビジネスチャットなど、時代とともにツールが変わっても、画面の向こう側に人がいて、その人とコミュニケーションをしているという事実は変わりません。

「情報を伝達できれば良い」ではなく、感情や気持ちなどを伝えられるよう意識して、気持ちの良いコミュニケーションを心がけていきましょう!

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等