社員のモチベーションに直結する人事評価。適性な評価基準を作っていても、不満をゼロにすることはなかなか難しいもの。Googleが採用している「ピアボーナス」という評価制度をご存知ですか?従業員同士が評価し合い、報酬を贈り合うことで、多角的な面から評価ができるということで、さまざまな企業で導入が進み、今注目されてます。本日は、このピアボーナスがどういうサービスなのか、またピアボーナスの仕組みや導入方法について解説いたします。

ピアボーナスとは?

ピアボーナスとは、「PEER(仲間)」と「BONUS(報酬)」の2つの言葉を組み合わせた造語で、従業員同士が互いに評価し合い、報酬を贈り合う評価制度を指します。

Googleも導入しており、アメリカを中心に海外で広まっている評価制度です。国内では、株式会社Unipos(ユニポス)がピアボーナスサービス「Unipos」をリリースし、マイナビ、メルカリ、GMOなど、国内企業が次々とピアボーナスを導入しています。

ピアボーナスとインセンティブの違い

狭義的には、通常支払われる給与とは別に、成果に応じて支払われる「成果報酬」を意味します。ただし、広義的には「やる気を起こさせる外的要因」という意味になり、ピアボーナスはインセンティブの一種になります。

ピアボーナスとギフトエコノミーの関係性

ギフトエコノミーは、直訳すると「贈与経済」ですが、そこに見返りを求めるという文脈は存在せず、シンプルに「与え続ける循環が続く仕組み」です。

資本主義では、金額相応のサービスを提供する、またはそのサービスを受ける「ギブ&テイク」という言葉がよく使われますが、ギフトエコノミーでは、「ギブ&ギブ」、「ペイフォワード」といった言葉にその意味が集約されます。

この「ピアボーナス」も、全く同じ文脈を持ち、「報酬がもらえるから」という見返りなしに、相手を褒めて評価する行動をそれぞれが下心なしに自発的に行うことで、ギブの循環が回り、信頼関係を強化したり、お互いの価値観を認め合う土壌を作ることができます。

ピアボーナスによって変わる働き方と注意点

なかなか具体的なイメージがつきにくいピアボーナスという制度ですが、導入すると、具体的に従業員の働き方にどう影響があるのでしょうか?注意点とともにまとめました。

ピアボーナスによって変わる働き方

お互いを認め合いながら働く

ピアボーナスでもらえる報酬よりも、仲間(従業員)から承認されるという行為自体が、満足感、達成感に強く作用し、従業員のモチベーション向上につながります。ピアボーナスの仕組みが続くことで、信頼関係が構築、お互いを評価する、職場が明るくなるという好循環が作り出せます。

埋もれていた頑張り・成果をお互いに探す

人事評価で、全ての従業員の行動を評価することはほぼ不可能です。また、人事評価はたとえ明確なロジックが組まれていても、判断するのはあくまで人であり、評価者の主観が交じることは避けられません。しかし、ピアボーナスでは利害関係のない、役割関係のない同僚、部下、別部署の人間がお互いに評価するため、今までは影に隠れていた個々の頑張り・成果が見える化します。

ピアボーナスの注意点

ポイント稼ぎが目的化する恐れも

本来、ピアボーナスは従業員のモチベーションアップや社会全体の雰囲気をポジティブにするために活用されるものですが、「ピアボーナスで評価を得る」ことが目的化してしまうと、業務に支障が出たり、従業員間でトラブルが起こったりする恐れもあります。導入する際には、ピアボーナスをなぜ導入するのか、背景や目的をしっかりと説明する必要があります。

導入にコスト・労力がかかる

導入手法としては、ピアボーナスのサービスを契約するか、または自社開発するかの2パターンになります。また、ピアボーナスを導入してから浸透・普及する手間・労力もかかります。導入しても使用率が低いままだと、制度は形骸化します。推進部などを設立し、説明会などで、導入の目的、使い方、意義などを発信し続けることが大切です。

ピアボーナスの導入の進め方

ピアボーナスというと、報酬の部分に目がいきがちですが、報酬よりも従業員がピアボーナスをどう使い、どう変化するかという設計の方が重要です。

ピアボーナスを実施する目的を決める

実施する前に、ピアボーナスを導入する目的を明確にしましょう。前述の通り、目的が決まっていないと、「ボーナス稼ぎ」の目的の社員が増え、ピアボーナスが正常に機能しなくなります。カルチャーの浸透を進めたいのか、従業員のモチベーションを高めたいのか、従業員も理解できるわかりやすい目的を提示しましょう。

制度の利用を促す

他の社内制度と同様に、ピアボーナスが導入できたら利用を促します。方法としては・・・

・愛着のある呼びやすいネーミングを付ける
・使い方の事例を社内メルマガなどで共有

等が挙げられます。とにかく、利用の心理的ハードルを下げ、「使ったら楽しい」ということを知ってもらう事が重要です。

ピアボーナスの活動が拡散する仕組みを設計する

ピアボーナスの活動を継続的にするには、その活動がより多くの従業員にシェアされていることが重要です。例えば、ピアボーナスによって集まったいいね!や報酬の数で表彰制度を設けることで、日常の地道な努力を認めてくれているという承認欲求を満たすことができ、制度の浸透や利用拡大につなげることができます。

ピアボーナスを導入している企業事例

最後に、ピアボーナスを導入している企業事例をご紹介します。

メルカリ

メルカリは、2017年にmertip(メルチップ)と呼ばれるピアボーナス制度を導入しています。急成長し、毎月50名以上の新規メンバーがジョインしていることで、社員同士のつながりが希薄になり、コミュニケーションが少なくなっている課題を抱えていました。

そこで、Slackを通して、もっとカジュアルに感謝・称賛ができる仕組みを導入しようとmertip(メルチップ)と呼ばれるピアボーナス制度を採用。mertip(メルチップ)を通して、他拠点、他部署とのコミュニケーションが増えて、「隣の人が何の業務をしているか分からない」という状態が減り、各部署との調整に対するハードルも下がり、信頼関係構築につながっているそうです。

株式会社ユニークワン

ユニークワンでは、アメリカ発のピアボーナスサービス「HeyTaco!」を導入しています。自社のバリュー(価値観)に沿ったアクションに対し、称賛をするというルールで、ピアボーナスを運用しています。運用から2ヶ月で、社員同士の細やかなアクションや成果が可視化され、全体の会社の雰囲気が明るくなったそうです。
※タコスはあくまで通貨の名称。タコスがもらえるわけではないそうです。

GMOメディア株式会社

コミュニケーションの活性化の課題を解決するために、ピアボーナスの制度を導入。ピアボーナスの浸透を目的とした推進部署を立ち上げ、メンバーに全てを一任。ピアボーナスの使い方をグラレコ(※ホワイトボードや大きめの模造紙にイラストや図を使って会議の内容を見える化するファシリテーターの手法)で分かりやすく解説したり、社内メンバーが見れる大型モニターにピアボーナスが多かった投稿を掲載したりと、推進メンバーが皆自発的に普及の活動を行ったそうです。


その結果、本人にしか気づき得ない成果が可視化され、隠れていた貢献に光があたりました。また、他部署がどんな業務をしているか相互の理解が進みました。また、従業員と顔を合わせる機会の少ない経営層がピアボーナスに参加することで、褒める機会も増え、全社員の信頼関係の強化につながりました。

まとめ

すぐに、売上や離職率低下といった数値の改善は期待できませんが、長い目で見れば、優秀な人材の流出の防止、エンプロイーエンゲージメントの向上につながり、結果的に会社にプラスの結果をもたらします。

ぜひ、ピアボーナスを導入し、社内コミュニケーションの活性化の推進や、社内カルチャーをより広く浸透させるきっかけ作りに活用してみましょう。