古くは、Googleやアップルといった外資系企業が採用し、近年は、NTTデータやメルカリといった国内企業も導入を始めた「マインドフルネス」。「メディテーション」というワードと並んで、近年、マインドフルネスに対する注目度は上がり続けています。そもそも、マインドフルネスって瞑想や禅と何が違うのか?漠然としたイメージを持っている人のために。 本記事ではマインドフルネスとはそもそも何か?そして、得られるメリットや実践する上で大切なポイントについて解説します。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、「今この瞬間に集中しそれを大事にする考え方」のこと。ストレス解消、集中力アップなどの効果が期待されることから、グーグルを始め、外資系企業に採用され、ビジネスシーンでも度々耳にするようになっています。 マインドフルは英語に直すと、マインド(精神または心)フル(満ち足りた)ネス(状態)を表します。1979年にマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン教授が考案した「マインドフルネス瞑想法」が医療分野で採用されてから、さまざまな領域にも応用され、世界的にマインドフルネスという考え方が定着しました。 特に企業研修やプログラムにマインドフルネスが取り入れられるようになった先駆けはアップルCEOのスティーブ・ジョブズです。スティーブ・ジョブズは、学生時代より、禅・仏教や東洋思想に触れており、曹洞宗の僧侶・乙川弘文老師に仏教を師事していたほどです。 Apple watchに搭載されている「呼吸」は、まさにスティーブ・ジョブズの哲学である「マインドフルネス」が受け継がれた機能の一つと言えます。

マインドフルネスと禅の違い

ところで、マインドフルネスと禅は何が違うのでしょう?基本的には、どちらも瞑想をするための手法です。似た言葉にヨガ(またはヨーガ)がありますが、こちらも同様です。それぞれの明確な違いは、「瞑想の目的が異なること」です。 まず、ヨーガの最終境地は「サマーディ」と呼ばれる悟りを開くこと。昨今のヨガは、大衆化し体のメンテナンスや精神状態の解放などに使われていますが、本来は、ヨガの八支則の最終境地「サマーディ」を極めることにあります。 次に禅ですが、こちらには目的はありません。「瞑想することそのものが目的」だからです。もし、瞑想そのものに目的を持たせた場合、それは禅ではなくなります。「無の境地」と呼ばれるように、「ただあるがまま」を瞑想で生み出すのが禅です。 そして、本題のマインドフルネスは、ヨーガや禅と違い、宗教的要素のない身体的・精神的安定や作業効率アップなど、明確に「成果を得る」ことを目的に瞑想を行います。

なぜマインドフルネスが必要?

なぜ近年、ビジネスシーンでマインドフルネスという考え方が広く浸透し始めたのでしょうか?その理由は大きく2つあります。

グローバル化とマインドフルネス

一つはグローバル化です。マインドフルネスというアプローチに関心を持つのは、日本国内のビジネスマンよりも、外国籍のビジネスマンが多いのが現状です。Googleでは「Search Inside Yourself」と呼ばれるマインドフルネスプログラムが存在し、他Facebookやゴールドマン・サックスなど、名だたる外資系企業で採用されている実績もあります。今後、グローバル化で外国人労働者が増えてくれば、結果的に集中力向上やストレス軽減のアプローチとして、マインドフルネスが広がっていくでしょう。

健康経営とマインドフルネス

「働き方改革」によって、従業員の健康維持を経営課題とし、解決に向けて実践する「健康経営」が企業における一つのテーマとなっています。マインドフルネスは、創造力のアップやストレス軽減などの効果が期待できるため、今後、積極的に採用する企業も増えると思われます。

マインドフルネスで得られる効果

マインドフルネスでは、どのような効果が得られるのでしょうか?特にビジネスマンに嬉しい効果は以下の2つです。

ストレスの軽減

自律神経のバランスが調整されます。副交感神経が優位になり、緊張状態よりもリラックスした状態が増えます。ワシントン大学が行った研究によれば、210人の被験者に対し、マインドフルネスを6ヶ月ほど実施したところ、ストレスに関する遺伝子が減少したという結果が出ています。

集中力の向上

雑念を捨てて今この瞬間に集中する時間を多く持つことができます。マインドフルネスを定期的に行うことで、瞑想で感じた集中力を仕事に活かす事ができ、高いパフォーマンスを出すことができます。

マインドフルネスのデメリット・問題点

マインドフルネスは、メリットばかりではありません。デメリットや課題もあります。

時間と手間がかかる

海外で行われているマインドフルネスプログラムの場合は、1時間の内容を3ヶ月程度かけて行うのが主流です。泊まり込みで数日間、マインドフルネスを行うものもあります。本格的に意識改革したい場合は、講師を招いたり、専用の器具を購入したりなど、それ相応の費用と時間が必要になります、

効果に個人差がある

マインドフルネスは、自分の内面と向き合う時間であり、人によって個人差もあります。全員、効果が出るというほどシンプルなものではなく、人によってはそれこそ3ヶ月、1年かかる人も。作業効率をアップさせたい、従業員の欠勤を減らしたいなど、明確な効果をすぐに期待する場合は適した方法とは言えないでしょう。

精神的に落ち込む危険性も

精神状態が不安定な人がマインドフルネスを行うと、心を取り乱したり、急に涙が出たりと、さらに悪化させる危険性も。自分の内面と向き合って、あるがままを受け入れることになるため、心が落ち着いている時に行いましょう。

マインドフルネスで大切なポイント

正しいやり方でマインドフルネスを行わないと、期待するほどの効果は得られません。以下のポイントを踏まえながら実践しましょう。

呼吸に注意する

腹式呼吸を意識すると、リラックスする時に出る副交感神経が優位になります。普段、人は胸式呼吸になっています。全身の力を抜き、ゆっくりとお腹を引っ込ませて息を吸い、その後吐き、腹式呼吸にしましょう。 ポイントは呼吸のスピードです。時間がないからと、いつもの呼吸のスピードでは全く効果は得られません。慣れないうちは、息を長い時間かけて吸い切り、吐き切ることを心がけましょう。

「今この瞬間」に集中する

このあとの仕事や、過去の失敗などは一切考えません。今この瞬間だけを意識しましょう。寝る時に自分の呼吸を感じながらリラックスする瞬間があると思いますが、あの感覚で、呼吸に耳を澄ませ、静かに時間を過ごすと上手くいきます。

判断しない/思考しない

瞑想中は雑念が頭をよぎります。そういった感情や思考が浮かんでも、すべて追わないように。でてきたものを判断せず、思考せずに、すぐに今に集中し直します。意識して瞑想するのではなく、ただ今全てに身を任せる意識をすると、徐々に自然な呼吸で瞑想ができるようになります。

マインドフルネスを導入している企業

Google

Googleは、マインドフルネスが一般的に認知される前から、企業研修に採用している企業です。2007年に、「Search Inside Yourself(SIY)」と呼ばれるプログラムを開発。この研修は、仕事の能率アップ、リーダーシップの習得、心を健康に保つことを目的としており、グーグルが定めた心の知能指数を高めるため、歩く瞑想や各瞑想など、さまざまなトレーニングが用意されています。2017年9月には、日本で始めてSansanがこの研修を導入しています。

楽天

楽天では、社員が自由に参加できる「マインドフルネスネットワーク」というプログラムがあります。楽天社内のグローバル人材の増加に伴い、導入されました。毎週決まった時間に会議室で瞑想タイムが行われていたり、定期的なワークショップの開催、ゲスト講演など、さまざまなコンテンツが用意されています。

メルカリ

メルカリでは、部活動の一つに「マインドフルネス部」という部活が存在します。毎日夕方4時にリマインダーで部員に通知がいき、各自のスタイルで瞑想を行います。マインドフルネスを実際に行った部員たちは、「以前よりも切れた集中をすぐに元に戻せるようになった」と効果を実感しているそうです。

まとめ

マインドフルネスは、今からでもすぐに実践できるビジネスハックです。日々忙しく何も考える余裕がない。そんなときだからこそ、自分の内面と向き合う時間をしっかりと確保し、マインドフルネスを実践してみてはいかがでしょうか?