今やスマートフォンは、ガスや水道、電気といったインフラのように、なくてはならないほど大きな存在となりました。数秒で膨大な世界中の情報にアクセスできる便利なツールですが、使い方を間違えると健康被害を伴うことも。

 

近年は、デジタル機器から意図的に距離を置く「デジタルデトックス」に注目が集まっています。例えば、デジタル機器を持たずに、森の中に入って自然を感じたり、電波の入らない山奥でキャンプをしたりなど、デジタル世界ではなくわたしたちが生きている現実世界を体感する、より原始的な生活を思い返すことで、頭や心をリフレッシュします。

デジタルデトックスとは?

デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンといったデジタル機器から意識的に距離を置き、自然に触れたり自分と向き合ったりして、精神的・肉体的な疲労をリフレッシュする習慣を意味します。

 

デトックスは、もともと体内の老廃物や毒素を体の外へ排出するという意味で、インターネットにはびこるネガティブな情報や鳴り止まない通知を「毒」となぞらえ、デジタルデトックスという言葉が使われるようになりました。

デジタルデトックスがなぜ必要?

ソーシャルディスタンスと呼ばれる新たな生活様式の誕生により、オンラインを主体としたコミュニケーションが活発化しました。それにより、今まで以上に遠隔の人同士でビジネスが成立するようになりましたが、反面、SNSの投稿やネガティブなニュースに感情を揺さぶられたり、夜中でも来るメールやチャットの通知に疲れてしまったり、また眼精疲労や肩こりや腰痛など、画面を見続けることによる肉体的疲労を訴える人も増加しています。

深刻なスマホ依存

近年、年代問わずスマホ依存が社会問題化しています。MMD研究所の調査によれば、スマホ依存の自覚は全年代で「かなり依存している」と回答した割合が17.3%でした。もっとも回答が多かったのは女性20代で34.0%でした。

スマホ依存12項目のうち、もっとも多かった回答が「寝るとき、スマホを枕元に置いて寝る」で60.4%、続いて「ちょっとした待ち時間にスマホをいじる」が59.3%でした。

 

参照:2020年 スマホ依存と歩きスマホに関する定点調査

 

ヘルスケア製品大手のフィリップスの調査によれば、安眠を妨げる行動としておよそ4人に3人が「ベッドに電子機器を持ち込む」と回答しています。

 

参照:世界睡眠調査(global sleep survey)

仕事とプライベートの切り分けの難しさ

テレワークは、場所や時間にとらわれず働ける可能性を広げてくれましたが、良い意味でも悪い意味でも仕事とプライベートの境界線はなくなりました。

 

人によっては、区別できないことがストレスとなり、デジタル疲れの原因となります。テレワーク・リモートワーク総合研究所の調査では、テレワークの懸念点・悩みについて「仕事とプライベートの区別ができない」と回答した割合がもっとも多く42.15%でした。

 

参照:テレワーク・リモートワーク総合研究所が、「テレワークの懸念点・悩み」に関するアンケート結果を公開!

スマートフォン所有の低年齢化

スマートフォン所有の低年齢化で、性犯罪への被害に巻き込まれたり、親の知らないところでソーシャルゲームに大量課金をしてしまったりといった問題が度々メディアで取り上げられています。

 

東京都の調査では、子供に携帯電話・スマートフォンを持たせたことで、どのような影響があったかという質問について「夜遅くまで携帯電話・スマートフォンを使用し、睡眠不足になった」が19.6%、「親子間の会話が増えた」「親子間の会話が減った」がそれぞれ11.2%という結果になりました。

 

また、年齢別にみると、何らかの影響があった割合で、小学生高学年が25.6%であるのにたいし、中学生は56.2%、高校生は62.4%と、年次が上がるたびに悪影響を受けていることがみてとれます。

 

参照:家庭における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用に関する調査結果報告書

デジタルデトックスのメリット・効果

デジタルデトックスを実践すると、どのようなメリットや効果が期待できるのでしょうか。

脳の疲労がとれる

スマートフォンを筆頭としたデジタル機器は、いつでもどこでも世界中の情報を仕入れられる便利なツールですが、情報をインプットしすぎると処理が追いつかず、脳が疲労してしまいます。

 

スマートフォンを物理的に遠ざけることで、脳をリフレッシュさせ低下していた集中力や記憶力を回復させることができます。

睡眠の質が向上する

スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは交感神経を刺激するため、夜にデジタル機器をみると、体内リズムが狂い睡眠の質が低下します。デジタルデトックスを実践することで、夜寝る前にスマートフォンを見るという悪習慣がなくなるため、寝付きもよくなり、睡眠の質が向上します。

時間にゆとりが生まれる

今では、スマートフォン一台さえあれば読書やSNS、ゲーム、音楽、映画など、さまざまな娯楽に興じることができます。しかし裏を返せば、それだけ多くの時間をスマートフォンに無意識のうちに吸い取られています。スマートフォンを筆頭としたデジタル機器にふれる時間を強制的になくすことで、膨大な時間を捻出できます。

デジタルデトックスのデメリット・注意点

デジタルデトックスをすることで、睡眠の質を改善したり、脳の疲労を回復したり、さまざまな効果が期待できますが、デジタルデトックスは日常使いしているスマートフォンの利用を止めることであり、薬の副作用のように、さまざまな弊害をもたらすことも考えられます。

 

暇な時間が増える

時間にゆとりができるということは、裏を返せば、”なにもしない”時間が生まれるに等しいです。何もしない時間を作り、頭を空っぽにしたい人には有意義な時間になるかもしれませんが、多忙に充実感を覚えている人にとっては、耐え難い苦痛となるかもしれません。

 

仕事の連絡ができない

短期間デジタルデトックスをするにしても、一定期間はデバイス機器との接触を断ちます。その間は、仕事の連絡を取ることもできません。営業や経営者など、頻繁に連絡をする人にとっては、仕事に差し障りが出ます。そのため、デジタルデトックスを行う場合は、仕事の連絡が入らないようなときにするか、または事前に周知しておく必要があります。

デジタルデトックスの方法・やり方

最後に、デジタルデトックスの実践法をご紹介します。

使用時間を可視化する

まず、デジタルデトックスをする前に、自分がどれだけスマートフォンやパソコンを閲覧しているか、その時間を可視化しましょう。例えば、GoogleChromeの拡張機能「WasteNoTime」をインストールすると、Web閲覧時間を記録できますし、Macでは「スクリーンタイム」でパソコンとスマートフォンの使用時間を計測できます。

 

デジタル機器に触れない環境に身を置く

デジタル機器を操作できてしまう環境下で、デジタルデトックスを行うのには強い意志が必要です。手軽にできる方法としては、長時間スマートフォンを操作できない状況に身を置くことです。例えば、サイクリングや登山、サーフィンなどが挙げられます。自然と触れる時間もとれて、頭を空っぽにできるということで、デジタルデトックスの手段として人気です。

 

最初は短時間からチャレンジする

日頃使い慣れているデジタル機器の使用を長時間制限することで、かえってストレスになってしまう場合もあります。デジタルデトックスをするなら、最初は短時間から、慣れてきたたら1日、2日と長期間でチャレンジしましょう。

 

画面をグレースケール(モノクロ)にする

どうしてもデジタル機器を手放せない……。そんな人は画面をグレースケールにしてみましょう。人は明るく鮮やかなものに魅了され、脳を活発化させる習性を持ちます。画面をグレースケールにすることで、楽しい感情が減退し、自然とデジタル機器の使用時間を減らせます。

 

まとめ

いつでも遠い地にいる友達や家族と連絡をとれて、SNSで近況を知れる便利な時代になりました。しかし、使い方を間違えると、「スマホ依存」ような状態になってしまい、現実世界が置き去りになります。ときにはデジタル機器から離れ、外に出て海や山など自然と触れて、自分を見つめ直す時間を作ってみてはいかがでしょう?

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等