近年、「ソーシャルリクルーティング」という採用手法があるのをご存じでしょうか?その名の通り、SNSを活用した採用手法で、採用コストをかけずにダイレクトに候補者にアプローチできることから注目が集まっています。本記事では、ソーシャルリクルーティングのメリットやデメリット、成功事例について解説します。

 

ソーシャルリクルーティングとは?

ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやTwitter、InstagramなどSNSを活用した採用手法のことを指します。

ソーシャルリクルーティングの歴史は新しく、株式会社garbsがソーシャルリクルーティングサービス「Social Job Posting (ソーシャルジョブポスティング)」をリリースした2010年ごろが起源とされています。

黎明期は、LinkedinやWantedlyのような採用特化型のリクルーティングサービスを利用した採用活動が主流でした。2015年ごろからは、SNSを使った採用活動が盛んに行われるようになり、採用担当またはその会社の顔となるエース級社員がアカウントを開設し、ファンの獲得を目指す動きも出てきています。

ソーシャルリクルーティングとダイレクトリクルーティングの違い

ダイレクトリクルーティングはその名の通り、候補者に直接アプローチする採用手法です。基本的に、採用活動を行う場合は、求人サイトへの掲載、人材エージェント、求人広告などを活用します。しかし、ダイレクトリクルーティングではそういったものを通さずに、自社が保有するデータベースやSNSなどで候補者と接触し、採用を行います。つまり、ソーシャルリクルーティングは、ダイレクトリクルーティングの手法の1つに含まれます。

ソーシャルリクルーティングが注目されている理由

ソーシャルリクルーティングが注目される背景には、大きく「SNSの普及」「採用競争の激化」の2つの理由が挙げられます。

スマートフォンやSNSなどの普及

株式会社 ICT総研の調査によれば、日本のSNS利用者数は8,270万人で、全人口のおよそ82%が利用している計算になります。2024年末には8,388万人に拡大すると予測されています。

SNSといえば「若者のツール」というイメージがありますが、今や全世代において当たり前に使われるプラットフォームとなっており、新卒採用だけに限らず、中途採用にも有用であることが伺えます。

出典:2022年度SNS利用動向に関する調査|ICT 総研調べ

採用競争の激化

少子高齢化で「売り手市場・買い手市場」になりつつある状況においては、より採用競争が激化すると予測されます。今後は、良い事業、良いサービスを展開している会社であっても、自社の魅力を適切に候補者に伝えることができなければ、求めている人材にアプローチすることはおろか、出会うことそのものも困難になるでしょう。

 

その点、SNSは費用をかけずに候補者へ自社の魅力をアプローチできるツールです。しっかりと、在籍する従業員の個性やキャラクター、社内の様子などを打ち出すことで、候補者へ魅力を発信することができるのです。

ソーシャルリクルーティングのメリット

ソーシャルリクルーティングを実施するメリットは、大きく以下の3つに集約されます。

採用コストの削減

ソーシャルリクルーティングでは、TwitterやfacebookといったSNSを活用するため、無料で採用活動ができます。従来の採用方法であれば、掲載費用や成果報酬などの費用を支払う必要がありました。しかし、SNSは広告などの有料機能を除き、原則無料で活用することができるため、採用コストを大幅に削減できます。

ミスマッチの防止・回避

従来の採用手法では、メッセージの送受信回数が制限されていたり、エージェントを仲介して候補者とやり取りをしたりするケースがありました。しかし、SNSは制約を受けることなく、候補者と直接コミュニケーションが図れるため、ミスマッチを回避できます。

ブランドイメージの向上

採用ページでは伝えきれない、事業の面白さや業務の魅力、会社の雰囲気など、細かい情報を発信できます。また、候補者からのコメントやシェアなどに対するコミュニケーションや対応を通して、会社の方針やビジョンを体現でき、より会社の温度感を伝えることができます。

ソーシャルリクルーティングのデメリット・注意点

反面、ソーシャルリクルーティングには、いくつかデメリットや注意点があります。

炎上のリスク

SNSはより多くの人へ情報発信ができるツールです。しかし、発信の方法を間違えると、最悪の場合、炎上に発展してしまうことも。特に、近年は人権意識やダイバーシティといった考え方が重要視されていることもあり、より一層、使う言葉には気を付ける必要があるでしょう。

労力がかかる

お金はかかりませんが、発信内容の選定や発信する作業もすべて自社で行う必要があります。また、採用サイトへの広告掲載のように、SNSをみる人は就職活動をしている人ばかりではありません。ゼロから母集団形成を行う必要があります。

短期では成果が出にくい

「SNSに情報を出せば人が採用できる」は間違いです。適切なターゲットに、適切なメッセージを、適切なタイミングで投下してはじめて、採用に結びつくアクションが生まれます。このサイクルは一朝一夕では構築できません。何十回、何百回の仮説検証を繰り返した結果、たどりつくものだからです。

ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント

ソーシャルリクルーティングを成功させるには、以下の3つのポイントを心がけましょう。

定期的な更新・発信を心がける

先に述べたように、ソーシャルリクルーティングは、短期的に成果が出る採用手法ではありません。SNSは無料のツールだからこそ、競合も多く利用します。定期的に情報発信をしなければ、接触機会が減ってしまい、リーチする確率は下がります。まずは、定期的な更新・発信を心がけましょう。

ガイドラインを作成する

SNSを活用した情報発信の最大のリスクは炎上です。ひとたび炎上をすると、大きくブランドイメージが毀損し、元に戻すまでに多大な時間を要します。発信内容を属人化せず、発信のためのガイドラインを作成し、情報発信の内容を標準化することが肝心です。

フォロワー数やいいね!を目的にしない

フォロワー数やいいね!が増えれば、露出が広がります。しかし、表示回数が増えたところで、採用につながるとは限りません。大切なのは、理想の人材に、適切なメッセージでアプローチすることだからです。

 

特に最初は、反応が少なくフォロワー数やいいね!を指標にしがちです。ただ、フォロワー数やいいね!に惑わされると、それこそ「釣り投稿」や「ネタ」などに走り、本質から逸れることになるため、注意しましょう。

ソーシャルリクルーティングの成功事例

最後に、ソーシャルリクルーティングの成功事例についてご紹介します。

アイティメディア株式会社

ソーシャルリクルーティングという言葉が根付く前から実践していたアイティメディア。2009年にTwitterアカウントを開設し、積極的に自社の魅力を発信。フォロワー572人のうち263人がエントリーという脅威の成果を叩き出しました。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスでは、会社本体のアカウントとは別に、ソーシャルリクルーティング用のFacebookアカウント「Starbucks Partners」を開設。ここでは、各店舗で働くスターバックスの従業員が働く様子を写真や動画で掲載しています。

三井住友カード株式会社

三井住友カード株式会社では、新卒採用専用のInstagramアカウントを開設。このアカウントでは、内定者からの就活アドバイスや、社員インタビューなどを掲載しており、より入社後のイメージが明確になるようなコンテンツを更新しています。

まとめ

再三述べているように、ソーシャルリクルーティングは即効性を期待できる採用手法ではありません。地道にSNSで発信を続けることで、フォロワーとの交流が生まれ、結果として採用活動につながるのです。たしかにコストはかかりませんが、今すぐ人材を採用したいということであれば、ソーシャルリクルーティングだけに絞ることは得策ではありません。他の採用手法と合わせて実施することをおすすめします。

 

この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等