ビジネスシーン、とりわけ会議やミーティングの場でよく聞くアイスブレイクやチェックイン。チェックインとは、「宿泊施設の手続き」ではなく、互いに自己紹介や近況などをシェアすることで、より会議を円滑にし、活性化させるための取り組みを指します。本記事では、チェックインの概要や効用などについて解説します。
目次
会議における「チェックイン」とは?
チェックインとは、会議や打ち合わせを始める前に、お互いの自己紹介や今感じていることなどを述べることで、場の空気を和ませる手法のことを言います。チェックインには、ホテルの到着手続きや、飛行機などの搭乗手続きのほかに、「様子を見る」という意味でも用いられます。ビジネスにおけるチェックインは後者の意味から来ているものと思われます。
チェックインとアイスブレイクの違い
アイスブレイクは、セミナーや研修、会議の前に、簡単な自己紹介やグループワークをすることで、参加者の緊張をほぐす手法です。チェックインはアイスブレイクの手法の1つです。主に、会議などに限定して使われることが多く、特に社内やパートナー企業など、閉じられた環境下で行われることが一般的です。
チェックアウトとは?
チェックアウトは、チェックインとは反対に、会議の終わりに今感じていることや今後について参加者全員が発言をすることで、会議が締まるだけでなく、改めて、今日決まったこと、課題の理解が深まるなどの効果があります。
チェックインを導入するメリット
ビジネスで、チェックインを導入するメリットは、大きく下記の2つに集約されます。
心理的安全性が高くなる
チェックインを実施することで、会議の場における心理的安全性が高くなります。参加者は、発言が得意な人もいれば、上下関係を気にして発言を控えてしまう人、意見を発するのが苦手な人など様々です。一旦、チェックインという形で、参加者全員が発言することで、緊張がほぐれ、発言しやすい空気が醸成されます。
心理的安全性とは、恐怖や拒絶、不安を感じずに発言や意見を表明できる状態を指し、2015年にGoogleが組織の成功要因として挙げたことで話題となりました。
関連記事:心理的安全性の作り方と高める方法について【グーグルも実践】
モチベーションの向上
参加者が多い会議では、「自分が発言をする時間なんてないのでは?」という思考になり、なかなかやる気が湧かないでしょう。それどころか、どうすれば手を抜けるかと考える人も出てきそうです。チェックインでは、参加者全員に発話の機会を与えることで、参加者各自に必要性を実感させることができ、結果としてモチベーションの向上につながるのです。
チェックインでよく使われるネタ・切り口
チェックインのお題はどんなものでも良いわけではありません。立場や役職などが異なるものが互いに話し合えるものである必要があります。主に、チェックインでは下記の3つのテーマや切り口が用いられます。
今の感情や気持ち
もっとも手軽なテーマがこちら。「来週のプロジェクトに必要な資料作成がまだ終わっていない」と事実だけでなく「来週のプロジェクトに必要な資料作成がまだ終わっていなくて、焦っている」と、今感じていることや気持ちもあわせて話してもらうことで、感情込みでその参加者の状況を理解できます。何か大きなトラブルや出来事がなくても、「今週は落ち着いています」「昼食明けで眠い」など考えずに話せるため、比較的ハードルが低いテーマといえます。
良かったこと・驚いたこと
良かったこと・驚いたことは仕事だけでなく、プライベートもOKです。むしろ、仕事から離れた内容の方が緊張感を解く効果につながりますし、互いのことを知る良い機会となるでしょう。
最近ハマっていること・マイブーム
最近ハマっていること・マイブームは、どちらかというと面識のある部署、課、チームなどで実施すると良いでしょう。特に、繁忙期などは、普段和気あいあいなチームや部署であっても会議でピリピリしがちです。会議前のチェックインで雑談をすることで、リラックスできるかもしれません。
チェックインで大切な5つのルール
最後に、チェックインを円滑に行うためのルールを5つご紹介します。
1.輪になって座る
オフラインの場であれば、立場関係なく対等に話ができるよう、輪になって座りましょう。数分の時間だからといって、そのままチェックインを始めてしまうと、せっかくの効果が半減してしまいます。
2.司会役が進行する
リアルの場では、自発的に発言する形でも良いかもしれませんが、オンラインでは必ず司会役がいないと成立しません。発言の順番は、入室順、名前順など、どれでも構いません。司会役がチェックインの開始・進行を担いましょう。
3.拍手やリアクションを促す
発言中はうなづく、発言し終わった後は拍手をするなど、できるだけリアクションをしましょう。特に、オンラインは相手の表情やリアクションを確認しにくいです。なかなか、自発的に参加者ができないところになるため、司会がチェックイン前にルールとして伝えておく必要があります。
4.テーマを指定する
テーマを自由にすると、まとまりがなくなるうえ、口下手な人にとってはハードルが高くなってしまうため、先に述べたようなテーマを指定しておくことをおすすめします。
5.全員が発話する
チェックインの原則は全員が発話をすること。ただし、10名以上の大規模な会議となれば、チェックインだけで会議の時間を消費してしまうため、グループ分けしましょう。オンラインでは、ブレイクアウトルームなどの機能を使うと良いでしょう。グループ分けする際は、なるべく同じ部署や課、チームの人となることを避け、ランダムに入れ替えるようにすると、交流が生まれます。
終わりに
チェックインは、会議前5〜10分で行われる何気ない雑談ですが、会議を円滑に進めるための非常に重要な取り組みです。ぜひ、自社でも取り入れてみてはいかがでしょうか??
この記事を書いたひと
俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya
1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等