スタートアップと大手企業では性質が大きく異なり、転職してその違いに悩み、本当の力を発揮できない人も多くいます。まずは大手企業とスタートアップの根本的な違いについて理解しましょう。

大手企業とスタートアップ

スタートアップという言葉には、明確な定義があるわけではありません。もともと、アメリカのシリコンバレー発祥の言葉とされており、創業して間もない企業という意味だけでなく、「新しいサービスや価値を創造する企業」という意味が付加されて使われるケースが多いです。

似た言葉にベンチャー企業がありますが、こちらはベンチャー学会の清成忠男氏によって作られた言葉で、ベンチャーキャピタルを受けた企業を指します。しかし、近年はベンチャーキャピタルを受けているいないに関わらず、小規模の企業をまとめてベンチャー企業と呼ぶことが増えています。

▶▶︎ ︎SaaSスタートアップ企業のマツリカの会社紹介資料はこちら 

大手企業の魅力

ここからは、大手企業とスタートアップ企業の違いについて。まず、大手企業の魅力はどんなところにあるのでしょうか?大きく以下の5つが挙げられます。

・安定した地位・ネームバリュー

最大の魅力は、なんといってもネームバリューです。家族や友人などにも仕事の説明がしやすく、社会的にも安定した地位を得られます。

・大きなプロジェクトに携われる
大手企業は、公共事業や大手企業との取引やプロジェクトを多数抱えています。新卒でも、上司のサポートとして大きなプロジェクトの一部分に携わることができます。それこそ、何千万、何億というフリーランスやベンチャー企業では経験できないスケールの大きい仕事に関われます。

・安定した給料・充実した福利厚生
企業によってもちろん差異はありますが、給料、福利厚生が充実しているケースが比較的多いです。金銭的余裕も持つことができ、よりグレードの高いライフスタイルを設計できます。

・ローンやクレジットカードの審査が下りやすい
不動産ローンやクレジットカードの発行など、ネームバリューのある企業ほど、審査が下りやすい傾向にあります。特に、額の大きい不動産投資や売買などは、企業規模や業界、役職などが重視されます。

・多種多様な人脈が構築できる
大手企業は、長い歴史があり、買収、M&Aを経て、さまざまな人材が所属しています。また、部署を設けて縦割りに事業を管理しているため、その道のスペシャリストが各部署に存在しています。

スタートアップの魅力

続いてスタートアップの魅力について。大きく分けて以下の3つです。

・スピーディーな業務
スタートアップは、人数も少なく規模も小さいため、権限が個々に集中しています。上長の承認は不要で、スピーディーに業務を進めることができます。

・給料が急上昇することも
立ち上げから入社した場合、軌道に乗って上場を達成すれば、給料が急上昇するケースも。また、IPOやM&Aといったエグジットが行われた場合、その額は数億円にのぼることもあり、わずか20代で億万長者になることもあります。

・起業スキルやマインドを得ることができる
新卒、バイト、役員の垣根を超えて、フラットな立場で協力し会社を拡大するため、社長の考え方や価値観を間近でインプットできます。

日本のスタートアップ企業

日本で最初にスタートアップブームの機運が高まったのが、1970年ごろで、キーエンス、大塚家具、すかいらーくといった企業が創立されました。その後、1980年後半に入り、いわゆるベンチャー三銃士(孫正義氏、澤田秀雄氏、南部 靖之氏)と呼ばれる経営者がソフトバンク、エイチ・アイ・エスを設立し、さらに1990年代後半になるとIT革命とともに楽天、サイバーエージェントといったITテクノロジーを使ったベンチャー、スタートアップ企業が次々と誕生します。

そして、2013年頃からは、「スタートアップ4.0」と呼ばれる流れが生まれます。これは、政府による金融緩和や官製ファンドの設立、AIに伴う新ビジネスの台頭によって、生まれたとされるブームです。

近年ではメルカリが、上場初日に時価総額6760億円を記録し、話題になりました。

国内スタートアップの社数・調達額の推移

entrepediaのデータによれば、日本国内のスタートアップ企業の調達社数と調達額は、2009年の「737億円」「896社」から、2018年には「3880億円」「1426社」と、数も規模も増えていることがみてとれます。

<参照:https://ami.live/articles/1RMIuOA1Z6J2ljrsuJYnbb

日本のスタートアップの評判

日本のスタートアップ企業は盛り上がりの兆しを見せているものの、世界的な視点で見ると

まだまだ規模は小さいといえます。例えば、中国ではスタートアップへの投資規模は10兆円、日本国内は3880億円と雲泥の差があります。また、調査会社CBインサイツの2019年1月時のデータによれば、ユニコーン企業総数が310社で、うちアメリカが151社、中国が86社、その次がイギリス、インド、ドイツと続きます。日本はプリファード・ネットワークス、SmartNews、liquidのわずか3社しかなく、スタートアップが育つ土壌がまだまだ育まれていないのが現状です。

日本でスタートアップが育たない理由

これほどまでに、諸外国に遅れを取っているのは、なぜなのでしょうか?それは、以下の3つの理由が挙げられます。

・ベンチャーキャピタルが成熟していない

例えば、アメリカではベンチャーキャピタルのスペシャリストが存在するのに対し、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレータは証券系、銀行系など、全く別業種の企業が行っているケースも多く、正確な経営方針をアドバイスできず、しっかりと投資先企業が成長しない傾向にあります。

・失敗を許容しない文化がある

例えば、数多くのスタートアップが巣立つシリコンバレーでは「失敗を奨励する文化」が根付いています。スタートアップは世の中に新しい価値を創造するわけで、新しいチャレンジはつきものです。

・エコシステムが成熟していない

エコシステムとは、「起業家やスタートアップ企業が自律的、連続的に生み出される仕組みのこと」を指します。資金だけでなく、人材や場といったリソースも含みます。VC側が積極的に投資・提供することで、投資先の企業価値が高まり、トップラインが伸長します。日本では、このエコシステムがまだまだ成熟していません。

大企業からスタートアップに転職する前に知っておくべきこと

ここまで書いて分かる通り、大手企業とスタートアップは風土や働き方、仕事の進め方が大きく異なります。もし、スタートアップに転職するなら、以下の点をまずチェックしておきましょう。

・会社の看板をなくした「本当の実力」を試される

大手企業ではネームバリューがありますが、スタートアップ企業は、まだ生まれたばかりの会社で、本当の意味で自分の実力が試されます。これは、大手企業にいる時にはなかなか気づけないもの。転職前に、複業などをして自分の本当の実力を測っておくのも一つの手です。

・当事者意識が高くなる

スタートアップ企業は、良くも悪くも不完全です。積極的に関わっていかなければ、現状は改善されません。とにかく、トライアンドエラーを繰り返しながら軌道修正する自走力が求められます。

スタートアップに転職した後の後悔

スタートアップに転職して飛躍的に成功する方もいれば、むしろ自分の本来の働き方ができず、上手く行かなかった失敗事例もあります。ここでは、大手企業から転職してよく起こる後悔についてまとめました。

・大企業のスケール感で仕事をする
大手企業では、部署ごと、チームごとに仕事が割り振られます。しかし、スタートアップでは、そもそも部署や仕事の分担の境界線があいまいです。経営陣であったとしても、ほぼ全員が実働部隊として動いています。たとえ、大手企業出身といっても立場は皆フラット。自発的に動かない社員は、使えない、役に立たないと認知されます。

・一緒に働く仲間へ過度な期待をかける
スタートアップには、多種多様な人材が在籍しています。それこそ、学生インターンから、若くして独立したフリーランスなど、大手企業では絶対に出会えないタイプの人と多く出会います。過度な期待ではなく、多様性を受け入れ、お互いに成長するという気概が重要です。

・ストックオプションについて勘違いしている
よくあるのが、ストックオプションについて取り決めがあるという勘違いです。必ずしも、経営者がストックオプションについて詳しいわけではありません。また、ストックオプションは、上場してはじめて大きな効果が発揮されます。株価が下がったりすれば、利益も目減りするので注意が必要です。

転職した方が良い理由と転職しない方が良い理由

大手企業は安泰ではなくなったと声高に叫ばれるものの、未だ福利厚生や年収、社会保障、社会的地位という面では安定しています。スタートアップへの転職はチャレンジである反面、リスクも伴います。下記では、スタートアップに転職しても良い理由と、しないほうが良いNGな理由についてまとめています。

転職した方が良い理由

・社長の考え方に共感・尊敬しているから
スタートアップで長く勤めるなら、社長との相性は非常に重要です。会社の行く末を担う社長の考え方に尊敬し、一緒に働きたいという想いは、この先苦しいことがあっても、大変なトラブルに見舞われても乗り越えられる一つのモチベーションになります。

・ミッション・ビジョンに共感したから
ミッション・ビジョンは、会社での意思決定、業務の進め方など、会社にまつわるあらゆることに関わる重要な指標です。特に、スタートアップにおいては、ここを深く理解し、共感することがとても大切です。

転職しない方が良い理由

・働く人たち・チームが好きだから
チームや人がめまぐるしく変わるのがスタートアップの世界です。人やチームに依存していると、変わったタイミングで会社への貢献度が下がります。立ち上げ初期と、第二創業期では社長と副社長以外、全員メンバーが変わっていたなんてこともよくあります。

・最先端のビジネスを実践しているから
人やチームと同じく、ビジネスも変遷します。特に、最先端の企業こそ変化が激しいです。事業内容だけに共感していると、すぐに続ける理由がなくなってしまいます。

終わりに

大手企業にも、スタートアップにもそれぞれの持ち味やメリットがあります。自分がどのようなキャリアを歩みたいか、そしてどのようなスキルをつけたいか。そういった部分から逆算し、慎重に転職を検討してみましょう。

▶▶︎ ︎多様な働き方を実践するマツリカの会社紹介資料はこちら