スタートアップと大手企業では性質が大きく異なり、転職してその違いに悩み、本当の力を発揮できない人も多くいます。まずは大手企業とスタートアップの根本的な違いについて理解しましょう。

大手企業とスタートアップは何が違う?

スタートアップという言葉は、明確な定義がなされているわけではありません。アメリカのシリコンバレー発祥の言葉とされており、創業して間もない会社という意味だけでなく、「新しいサービスや価値を創造する企業」という意味が付加されて使われるケースが多いです。

 

似た言葉にベンチャー企業がありますが、こちらはベンチャー学会の清成忠男氏によって作られた言葉で、ベンチャーキャピタルを受けた企業を指します。しかし、近年はベンチャーキャピタルを受けているいないに関わらず、小規模の企業は一括りにてベンチャー企業と呼ばれています。

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大手企業の魅力

ここからは、大手企業とスタートアップ企業の違いについて解説します。まず、大手企業の魅力はどんなところにあるのでしょうか?大きく以下の5つが挙げられます。

 

安定した地位・ネームバリュー

最大の魅力は、なんといってもネームバリューです。家族や友人などにも仕事の説明がしやすく、社会的にも安定した地位を得られます。

 

大きなプロジェクトに携われる

大手企業は、公共事業や大手企業との取引やプロジェクトを多数抱えています。新卒でも、上司のサポートとして大きなプロジェクトの一部分に携わることができます。それこそ、何千万、何億というフリーランスやベンチャー企業では経験できないスケールの大きい仕事に関われます。

 

安定した給料・充実した福利厚生

企業によってもちろん差異はありますが、給料、福利厚生が充実しているケースが比較的多いです。金銭的余裕も持つことができ、よりグレードの高いライフスタイルを設計できます。

 

ローンやクレジットカードの審査が下りやすい

不動産ローンやクレジットカードの発行など、ネームバリューのある企業ほど、審査が下りやすい傾向にあります。特に、額の大きい不動産投資や売買などは、企業規模や業界、役職などが重視されます。

 

多種多様な人脈が構築できる

大手企業は、往々にして、買収やM&Aを経て、さまざまな人材が所属しています。また、部署を設けて縦割りに事業を管理しているため、その道のスペシャリストが各部署に存在しています。

 

スタートアップの魅力

続いてスタートアップの魅力について解説します。大きく分けて以下の3つです。

迅速な意思決定

スタートアップは、人数も少なく規模も小さいため、権限が個々に集中しています。上長の承認をとることなく、業務を進められる場合も多いです

 

給料が急上昇することも

立ち上げから入社した場合、軌道に乗って上場やM&Aを達成すれば、給料が急上昇するケースも。また、その額は数億円にのぼることもあり、わずか20代で億万長者になることもあります。

 

起業スキルやマインドを得ることができる

新卒、バイト、役員の垣根を超えて、フラットな関係で協力して会社を拡大するため、社長の考え方や価値観を間近でインプットできます。

 

日本のスタートアップ企業

日本で最初にスタートアップブームの機運が高まったのが1970年ごろで、キーエンス、大塚家具、すかいらーくといった企業が誕生しました。その後、1980年後半に入り、いわゆるベンチャー三銃士(孫正義氏、澤田秀雄氏、南部 靖之氏)と呼ばれる経営者がソフトバンク、エイチ・アイ・エス、パソナを設立し、さらに1990年代後半になるとIT革命とともに楽天、サイバーエージェントといったITテクノロジーを使ったベンチャー、スタートアップ企業が次々と誕生します。

 

そして、2013年頃からは、「スタートアップ4.0」が起こります。これは、政府による金融緩和や官製ファンドの設立、AIに伴う新ビジネスの台頭によって、生まれたとされるブームです。

 

近年ではメルカリが上場初日に時価総額6760億円を記録し、話題になりました。

 

日本のスタートアップの社数・調達額の推移

entrepediaのデータによれば、日本国内のスタートアップ企業の調達社数と調達額は、2009年の「737億円」「896社」から、2018年には「3880億円」「1426社」と、数も規模も増えていることがみてとれます。

 

<参照:https://ami.live/articles/1RMIuOA1Z6J2ljrsuJYnbb

 

日本のスタートアップの評判

日本のスタートアップ企業は盛り上がりの兆しを見せているものの、世界的な視点で見ると

まだまだ規模は小さいといえます。例えば、中国ではスタートアップへの投資規模は10兆円、日本国内は3880億円と雲泥の差があります。また、調査会社CBインサイツの2019年1月時のデータによれば、ユニコーン企業総数が310社で、うちアメリカが151社、中国が86社、その次がイギリス、インド、ドイツと続きます。日本はプリファード・ネットワークス、SmartNews、liquidのわずか3社しかなく、スタートアップが育つ土壌がまだまだ育まれていないのが現状です。

 

日本でスタートアップが育たない理由

これほどまでに、日本が諸外国に遅れを取っているのは、なぜなのでしょうか?それは、以下の3つの理由が挙げられます。

 

ベンチャーキャピタルが成熟していない

例えば、アメリカではベンチャーキャピタルのスペシャリストが存在するのに対し、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレータは証券系、銀行系など、全く別業種の企業が行っているケースも多く、的確な経営方針をアドバイスできず、しっかりと投資先が成長しない傾向にあります。

 

失敗を許容しない文化がある

例えば、数多くのスタートアップが巣立つシリコンバレーでは「失敗を奨励する文化」が根付いています。スタートアップは世の中に新しい価値を創造するわけで、新しいチャレンジはつきものです。

 

エコシステムが成熟していない

エコシステムとは、「起業家やスタートアップ企業が自律的、連続的に生み出される仕組みのこと」を指します。資金だけでなく、人材や場といったリソースも含みます。VC側が積極的に投資・提供することで、投資先の企業価値が高まり、トップラインが伸長します。日本では、このエコシステムがまだまだ成熟していません。

 

大企業からスタートアップに転職する前に知っておくべきこと

ここまで書いて分かる通り、大手企業とスタートアップは風土や働き方、仕事の進め方が大きく異なります。もし、スタートアップに転職するなら、以下の点をまずチェックしておきましょう。

 

会社の看板をなくした「本当の実力」を試される

大手企業ではネームバリューがありますが、スタートアップ企業は、生まれたばかりの組織で、本当の意味で自分の実力が試されます。これは、大手企業にいる時にはなかなか気づけないもの。転職前に、複業などをして自分の本当の実力を測っておきましょう。

 

当事者意識が高くなる

スタートアップ企業は、良くも悪くも不完全でありカオスです。積極的に関わっていかなければ、現状は改善されません。とにかく、トライアンドエラーを繰り返しながら軌道修正する自走力が求められます。

 

スタートアップに転職して想定される失敗例

スタートアップに転職して飛躍的に成功する方もいれば、むしろ自分の本来の働き方ができず、上手く行かなかった失敗事例もあります。ここでは、大手企業から転職して起こりがちな失敗例についてまとめました。

 

大企業のスケール感で仕事をする

大手企業では、部署やチームごとに仕事が割り振られます。しかし、スタートアップでは、規模が小さいゆえ、部署や仕事の分担があいまいです。経営陣であったとしても、ほぼ全員が実働部隊として動いています。たとえ、大手企業出身といっても立場は皆フラットです。自発的に動かない社員は、使えない、役に立たないと認知されてしまいます。

 

一緒に働く仲間へ過度な期待をかける

スタートアップには、多種多様な人材が在籍しています。それこそ、学生インターンから、若くして独立したフリーランスなど、大手企業では絶対に出会えないタイプの人と出会います。過度な期待ではなく、多様性を受け入れ、お互いに成長する気概が重要です。

 

ストックオプションについて勘違いしている

よくあるのが、ストックオプションについて取り決めがあるという勘違いです。必ずしも、経営者がストックオプションについて詳しいわけではありません。また、ストックオプションは、上場してはじめて大きな効果が発揮されます。株価が下がったりすれば、利益も目減りするので注意が必要です。

 

スタートアップに転職した方が良い理由、転職しない方が良い理由

「大手企業は安泰ではなくなった」と言われることがあるものの、未だ福利厚生や年収、社会保障、社会的地位という面では安定しています。スタートアップへの転職はチャレンジである反面、リスクも伴います。下記では、スタートアップに転職しても良い理由と、しないほうが良い理由についてまとめました。

 

スタートアップに転職した方が良い理由

社長の考え方に共感・尊敬しているから

スタートアップで長く勤めるなら、社長との相性は非常に重要です。会社の行く末を担う社長の考え方を尊敬し、一緒に働きたいという想いは、この先苦しいことがあっても、大変なトラブルに見舞われても乗り越えられる1つのモチベーションになります。

 

ミッション・ビジョンに共感したから

ミッション・ビジョンは、会社での意思決定や業務の進め方など、あらゆる会社にまつわることに関わる重要な指標です。特に、スタートアップにおいては、ここを深く理解し、共感することがとても大切です。

 

スタートアップに転職しない方が良い理由

働く人たち・チームが好きだから

人やチームがめまぐるしく変わるのがスタートアップの世界です。人やチームに依存していると、変わったタイミングで会社への貢献度は下がってしまいます。立ち上げ初期と第二創業期では社長と副社長以外の全員が全員メンバーが変わっていたなんてことはよくあることです。

 

最先端のビジネスを実践しているから

人やチームと同じく、扱う商材やサービスも変遷します。特に、最先端の企業こそ変化が激しいです。事業内容だけに共感していると、すぐに続ける理由がなくなってしまいます。

スタートアップに向いている人、向いていない人

では、どのような人がスタートアップという働き方に向いているのでしょうか。

まず、スタートアップに向いている人は、自ら変化を起こし、それを楽しんでいける人です。変化とは、会社が扱う商材やサービス、仕事内容、会社に所属するメンバーなど外的環境だけでなく、自分自身が変わることも含みます。

 

また、スタートアップでは、職場環境や業務オペレーションなどが整備されていないことが多いです。行動しながらその土壌を構築していける人も向いているでしょう。

反対に、スタートアップに向いていない人は、安定を求めるタイプの人です。特に、社歴の浅いスタートアップであれば、日々変化し続けているため、スピード感についていけなくなるでしょう。

 

また、スタートアップは圧倒的に人手が足りません。少ない人数でも何とか会社やサービスを形にしていく必要があるため、1人が複数の業務を兼任したり、ヘルプで入ったりすることもあります。じっくり腰を据えて1つの仕事を突き詰めていきたい方には、合わない環境かもしれません。

終わりに

大手企業にも、スタートアップにもそれぞれの持ち味やメリットがあります。自分がどのようなキャリアを歩みたいか、そしてどのようなスキルをつけたいか。そういった部分から逆算し、慎重に転職を検討してみましょう。

 

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この記事を書いたひと


俵谷 龍佑

俵谷 龍佑 Ryusuke Tawaraya

1988年東京都出身。ライティングオフィス「FUNNARY」代表。大手広告代理店で広告運用業務に従事後、フリーランスとして独立。人事・採用・地方創生のカテゴリを中心に、BtoBメディアのコンテンツ執筆・編集を多数担当。わかりやすさ、SEO、情報網羅性の3つで、バランスのとれたライティングが好評。執筆実績:愛媛県、楽天株式会社、ランサーズ株式会社等